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第三者医院継承で注意すべきチェンジオブコントロール条項

  • 医療継承コラム

こんにちは。メディカルプラスです。本日は、第三者医院継承で注意すべきチェンジオブコントロール条項についてお伝えしたいと思います。

チェンジオブコントロール条項とは?

チェンジオフコントロール条項とは、取引契約における一方当事者に経営権及び実質的支配権の変動が生じた場合、契約の解除事由となる条項のことを言います。

契約当事者の経営権を新たに取得した者が無資力であった場合や、反社会的勢力だった場合等のリスクを避けるためにこうした条項が設けられています。

クリニックが事業を行ううえで締結している契約には、医療機器の保守契約や、医薬品や医業消耗品、臨床検査等の取引基本契約、賃貸借契約などがありますが、一般的には代表者及び実質的支配者が変わった場合、事前もしくは事後の報告で良いという契約内容が多く、これはクリニックという業種、業態の社会的信用が高いということもあるかもしれません。

第三者医院継承においては、相手方当事者にとっても院長交代後も取引が継続できるメリットもあり、取引契約の引継ぎができないというケースは少ないようです。

賃貸借契約の引継ぎは要注意

前述の通り、第三者医院継承においては、一般的な取引契約で経営権の移譲が問題になることは稀ですが、賃貸借契約の引継ぎには少し注意が必要です。医療モールのように、もともとクリニックへの賃貸を前提としているテナントビルは、クリニックの経営権が代わる場合、事前もしくは事後の報告でOKというケースが多いようですが、多業種のテナントが入るテナントビルやショッピングモールではチェンジオブコントロール条項が定められているケースがあります。

チェンジオブコントロール条項が定められている場合は、この定めにより、賃借人であるクリニック現院長からビルオーナー側に、クリニックを後継医師に継承したい事情を伝え、その可否はビルオーナー側が判断することになります。ビルオーナー側が賃借権の引継ぎは認めないということであれば、そのクリニックを継承することは不可能ということになります。相手方によっては検討しても良いということであれば、後継医師、医療法人の与信審査を行い、必要に応じて後継医師、医療法人とビルオーナー側との面接を行うこともあります。

チェンジオブコントロール条項が定められていない場合の注意事項

なかにはチェンジオブコントロール条項は定められていない賃貸借契約もあります。15年~20年以上前など開業当時に締結した契約内容がそのまま現在に至っているケースや、ビルオーナーが個人の地主で自主管理している物件などではチェンジオブコントロール条項が定められていないケースが多いです。

チェンジオブコントロール条項がないから問題なく賃貸借契約を引き継げるかというとそうではありません。クリニックは個人開設も多いですが、個人事業の場合、事業譲渡=契約当事者そのものが変わることになりますので、賃貸人と後継賃借人が新たに賃貸借契約を締結することになります。このケースにおける最大のリスクは賃貸人が貸さないといえば賃貸契約を締結することができないという点です。

賃貸人に貸さないといわれてしまった事例としては、前院長との関係性があまり良くなかったため、もうクリニックには貸したくないというケースや、ビルが老朽化しているためビルの建替えを計画しているケース、オーナーが自己使用するケースなどがあります。ですので、賃貸契約にチェンジオブコントロール条項がなくとも、オーナー側に事情を伝え、予め意向確認をしておく必要があります。

開設者が医療法人の場合は、契約当事者は医療法人ですので、チェンジオブコントロール条項がない場合、原則代表者変更の通知をすることで賃貸借契約をそのまま引き継ぐことできます。しかし、長年賃料が据え置きになっているような場合は、代表者変更とともに賃料の値上げ交渉や、保証会社への加入を求められることがあります。

契約まき直し時に留意すべき契約条件の変更点

ビルオーナー側の承諾を得て、新たに賃貸借契約を締結できる場合においても、ビルオーナー側から賃料や共益費の値上げなど従前の契約条件とは異なる条件を要求されることもありますので、変更条件が許容できる範囲内なのかどうかを判断するためにも、ビルオーナー側には早めの確認が必要です。

もう一点注意すべき点として、契約形態と契約年数の変更があります。契約形態とは、従前は普通賃貸借契約だったものが、継承後は定期借家契約になるケースです。駅ビルやショッピングモールなどは定期借家契約が一般的ですので、定期借家契約自体が問題ということではありませんが、このようなケースでは、数年後にビルの建て替えを予定していて、定期借家契約となるケースがあります。建て替えを前提とした定期借家契約の場合、その契約年数によっていずれは移転する必要が生じますので、将来かかる移転コストを含め十分に検討する必要があります。

契約年数については、例えば継承後の定期賃貸借契約の契約期間が3年で引継ぎ手が医療法人だった場合、賃貸借期間の短さを理由に分院化を目的とした定款変更が認められない可能性がありますので注意が必要です。

賃借人の地位承継でOKなケースも

ここまで新たな賃貸借契約を巻き直すケースをお伝えしてきましたが、ビルオーナー側の承諾があれば、新たに賃貸借契約を締結せずに、従前の賃貸借契約に基づく賃借人の地位を承継する覚書で賃借権の引継ぎができるケースもあります。この場合のメリットとしては、仲介手数料や礼金などの諸費用を抑えることができます。デメリットとしては、契約条項が古く現在に適していない場合も従前の契約条項をそのまま引き継ぐことになります。


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