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医師の開業資金はいくら必要?おもな科目別に解説

  • 医療継承コラム

こんにちは。メディカルプラスです。今回のコラムでは、クリニック(医院)開業に必要な資金についてお伝えしたいと思います。
これから数年後にクリニックの開業を考えているドクターは、「開業場所は?」「テナントか戸建てか?」あるいは「新規開業か継承開業か?」など様々なことで悩んでおられると思います。なかでも「クリニックの開業にはどれくらいの資金が必要になるのか?」ということは、特に気になるところだと思います。
クリニックの開業にかかる資金は、診療科目や物件(テナントor戸建て)、医療機器などの要件によって大きく異なりますが、まず一般的な面積40坪程度のテナント開業の内科クリニックを一例に、クリニック開業に必要な資金を見ていきたいと思います。

内科クリニックの開業資金

【前提条件】
*診療科目:一般内科
*開業形態:テナント
*面積:40坪
*医療機器: 電子カルテ、レントゲン一般撮影、CR、心電計、エコー

一般内科クリニックの開業に必要な資金

項  目 金  額 備   考
テナント費用 3,000,000円 礼金、敷金
内装工事 22,000,000円 40坪×坪55万
医療機器 12,000,000円 電子カルテ、レントゲン一般撮影、CR、心電計、エコー
その他資金 3,000,000円 HP、医師会入会金、看板製作
開業後運転資金 20,000,000円
合  計 60,000,000円

一般的な内科クリニックをテナント開業する際は、約6,000万円の資金が必要になります。土地を購入し戸建て開業する場合は+5,000万円~8,000万円、内視鏡を入れる場合は+1,000万円~1,500万円、CTを入れる場合は+2,000万程度の追加資金が必要になります。
ほかの科についても見ていきましょう。


整形外科クリニックの開業資金

整形外科クリニックの開業では、リハビリの施設基準を取るかどうかという点と、CTやMRIなどの画像診断装置を導入するかどうかという点によって必要な開業資金は大きく異なります。リハビリ施設基準を取る場合、多くのリハビリ用機器が必要になります。加えてリハビリの施設基準を満たすためには、基準で定められた以上のリハビリ室の面積が必要なりますので、必要なクリニックの面積も大きくなります。クリニックの面積が大きくなると、応じてテナント初期費用や内装工事費用、賃料、さらには多くのスタッフが必要になりますので開業後の人件費も大きくなります。賃料や人件費が大きくなると開業後に必要となる運転資金も増加するため、1億~1億5,000万程度の開業資金が必要になります。MRIを導入する場合はさらに5,000万円程度の追加資金が必要になります。


眼科クリニックの開業資金

眼科クリニックの開業では、オペを実施するかどうかによって必要な開業資金は大きく異なります。オペ有りの眼科を開業する場合は、検査やオペに関連する多くの医療機器が必要になるため、1億~1億5,000万円程度の開業資金が必要になります。オペ無しの眼科クリニックを開業する場合は8,000万~1億程度の開業資金が必要になります。


皮膚科クリニックの開業資金

皮膚科クリニックの開業では、自費を中心とする美容皮膚科で開業するか、保険診療を中心とする一般皮膚科で開業するかによって必要な開業資金は異なります。美容皮膚科で開業される場合、内装にどこまでお金をかけるかといったことや、レーザー等の医療機器をどの程度導入するかによっても必要な資金は異なりますが、8,000万円以上を目安とした開業資金が必要になります。
一方、レーザーを導入しない保険診療を中心とした一般皮膚科の開業で必要な資金は、5,000万円~6,000万円程度になります。


精神科クリニックの開業資金

精神科クリニックの開業は、必要な医療機器が少なく、小さな面積で開業できますので3,000万円~4,000万円の開業資金が必要になります。

医院継承の開業資金

医院継承により開業する場合、既にあるクリニックの経営権を前院長から引き継ぐため、内装工事や医療機器購入、職員の採用費用などが不要になります。一方、新規開業では不要でも医院継承では必要になる費用として営業権(のれん代)と仲介手数料があります。
営業権とは、今まで前院長が築かれてきた地域での信用や認知度など目で見えない価値を金額として評価したものです。信用や認知度をどのように評価するのか?という点については、そのクリニックの収益力によって営業権の評価額を算出します。クリニックの収益力が高いということはそれだけ多くの患者さんから支持されているという証であり、一方収益力が低いクリニックは、それほど多くの患者さんの支持を得られていないということになります。
営業権の評価額は実質利益の1年分が相場となっております。実質利益とは、個人開設のクリニックの場合、税引き前利益+削減可能経費+減価償却費の合計金額が実質利益の1年分となります。医療法人の場合は、役員報酬+営業前利益+削減可能経費+減価償却費の合計金額が実質利益の1年分となります。

一般的な収益力の内科クリニックを継承開業する際に必要な資金を見てみましょう。まず一般的な内科クリニックの収益力については以下データを参考にしたいと思います。
《参考》厚生労働省HP提供:中央社会保険医療協議会資料
【第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告】令和3年実施 P153ページ
こちらの調査データでは、医療法人を除く個人開業の無床診療所の平均収支は以下の通りとなっています。

項  目 金  額
医業収益 69,270,000円
医業費用 48,757,000円
収支差額(税引前利益) 20,513,000円

医業費用のうち減価償却費が3,043,000円となっているため、
20,513,000円+3,043,000円=23,556,000円が平均的な内科クリニックの営業権となります。ちなみに当該調査データは令和3年度に実施しておりますが、新型コロナの影響により、前回令和1年度に行われた調査データと比較し、売上が―7.9%、税引前利益は-15.2%それぞれ減少しています。
上記数値を踏まえ、一般的な内科クリニックを継承開業する際に必要になる資金は以下の通りとなります。

項  目 金  額 備  考
譲渡対価 23,500,000円
仲介手数料 5,500,000円
その他資金 2,000,000円 医師会入会金、HP修正、看板修正等
開業後運転資金 10,000,000円
合  計 41,000,000円

継承開業には資金面でメリットがある

一般内科を新規開業と継承開業を比較すると、継承開業は新規開業の7割以下の資金でクリニックを開業することができます。加えて継承開業のケースでは、初年度から約2400万の利益が見込めます。継承開業後、クリニックの運営が軌道に乗ってきたら、初期投資で削減したコストを新たな機器購入や改修工事に投資することで開業時のリスクを大幅に低減できることがお分かりいただけると思います。

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