ホーム » コラム » 医療継承コラム » 医療法人出資持分の評価方法について

医療法人出資持分の評価方法について

  • 医療継承コラム

こんにちは。メディカルプラスです。
医療法人やクリニックの譲渡、売却を御考えの院長や、これから継承開業を御考えの方は、さまざまな仲介会社や継承案件を比較検討し、情報収集をされていると思います。
情報収集を進めるなかで、クリニックの継承案件には「個人クリニック」と「医療法人が開設するクリニック」があることにお気づきになられると思います。さらに医療法人には「出資持分有り」の医療法人と「出資持分無し」の2つの異なる類型の医療法人があります。

本日はこの2つの異なる類型の医療法人のうち、「出資持分有り医療法人の『出資持分の評価方法』」についてお伝えしてまいります。

医療法人の出資持分とは?

ここまでお読みいただいて「そもそも医療法人の出資持分ってなに?」という方もいらっしゃるかと思いますので、出資持分とは何か?という点について簡単にご説明いたします。

出資持分とは医療法人の財産権のことであり、出資持分ありの医療法人は医療法人の設立時に出資者が出資した金額の割合に応じた払戻し請求権を行使することができます。例えば医療法人の設立時に1,000万円を出資した医療法人があるとします。この医療法人が順調に経営された結果、純資産が1億円まで増えた場合、設立時1,000万円だった出資金の評価額が1億円まで増えたことになります。
そして出資者が医療法人の社員から退社する際に出資額に応じた払出し請求、つまり上記のケースでは、医療法人に対して1億円の払出し請求をすることができます。出資額に応じた払出請求は出資持分無しの医療法人(基金拠出型を含む)では行うことができません。ちなみに出資持分ありの医療法人は平成19年4月以降新たに設立することができなくなっています。

出資持分については、以下コラムで詳しく解説しております。よろしければご覧ください。

「出資持分譲渡」ってなに?譲渡価格の計算はどうやるの?

株式会社の株式価値の評価方法

続いて出資持分の評価方法についてみていきますが、その前に一般的な株式会社の株式価値の評価方法について、少し触れておきたいと思います。
株式会社の株式価値の評価方法には、DCF法といわれる評価対象会社が将来あげるキャッシュフローを現在価値に割り引く方法(※インカムアプローチ)、類似会社比較法といわれる上場類似企業の時価総額に対する事業価値、財務数値の倍率をもとに株式価値を評価する方法(※マーケットアプローチ)、時価純資産法といわれる評価対象法人の資産及び負債を時価評価し株式価値を評価する方法(※コストアプローチ)等の方法があり、これらの評価方法のなかから特定の方法により評価するもしくは複数の評価方法を併用して評価する場合もあります。

それぞれの評価方法には、以下のような特徴があります。

評価方法 特 徴
■DCF法(インカムアプローチ) 評価対象会社から将来得られると期待されるキャッシュフローを現在価値に割り引いて算出するため、理論的な評価を行うことができ、実務上でも広く使われている評価方法ですが、割引率の設定や事業計画の精度によって評価結果に大きな差が開いてしまうこともあります。
■類似会社比較法(マーケットアプローチ) 評価対象会社と類似する上場企業を複数選定し、数値の中央値から倍率計算をして評価対象会社の株式価値を算出する方法です。類似会社比較法は類似した上場企業の選定が難しく、小規模な会社の株式評価や類似する上場企業がない医療法人等の評価手法には適していません。
■時価純資産法(コストアプローチ) 評価対象会社の資産負債を時価評価して株式価値を算出する方法です。時価純資産法は清算価値法とも呼ばれ、DCF法と比較し将来の事業計画の影響を受けないため、客観的な評価を行うことができる反面、将来的な収益力が株式価値に反映されません。

出資持分の評価方法

次は、医療法人の出資持分の評価方法についてみていきます。
株式会社の株式価値の評価方法には、さまざまな手法があるのは前述のとおりですが、医療法人の場合も同様の方法を用いて、評価額を算出します。
どの評価方法を用いるかは仲介会社によって異なりますが、当社メディカルプラスでは、時価純資産法に営業権を加えた評価手法を採用しています。非営利性が求められる医療法人には類似した上場企業がなく、DCF法は将来的な収益計画の見立てによって評価額が異なってしまうデメリットがあります。

対して時価純資産法は、医療法人が保有する資産負債の時価評価することで客観的な評価額を算出することができます。しかし、時価純資産法では客観的な医療法人の清算価値を求めることができる一方、事業全体として評価すべき無形財産権としての営業権(のれん代)が評価されていません。
よって当社ではこれを補うために時価純資産法で求めた評価額に営業権を加え出資持分評価額を算出しています。

時価純資産の算出方法

次は時価純資産の算出方法についてみていきます。
医療法人が保有する資産で注意すべき項目には、在庫、未収金、不動産、保険積立金などがあげられます。まず在庫と未収金についてですが、病院を除きクリニックの運営する医療法人では、現在は院外処方を採用しているクリニックが大半だと思いますが、院外処方にも関わらず、医薬品の在庫が過剰に多い場合、その在庫の有無を確認します。なかには何年も棚卸しをしていなかったり、数年間在庫の金額が動いていなかったりするケースもあります。

未収金については、健康保険支払基金から支払われる保険未収金は必ず入金されるので問題ないですが、保険未収金以外の未収金が大きい場合、その未収金の回収可能性について確認が必要です。過去の決算報告書から変動していない未収金がある場合は、数年に渡って回収できていないため回収可能性は低いと思われます。次に保養所や社宅など不動産を所有している場合は、固定資産税評価額や公示価格、近隣取引事例(実勢価格)などから時価を算出します。
不動産業者数社に依頼して不動産価格を査定してもらう方法や不動産鑑定士に依頼する方法もあります。保険積立金がある場合は、保険会社に依頼して保険契約を解除したときの解約返戻金の時価を確認します。

続いては負債です。負債で注意すべき項目は従業員の未払い残業代や未払賞与、なかでも特に注意が必要なのは、従業員の退職引当金です。退職金規定を定めている医療法人は多いですが、退職引当金を負債計上している医療法人は多くありません。退職引当金とは、退職金の支給要件に該当する従業員が全員一気に退職した場合に支払う必要が生じる退職金です。退職引当金は簿外債務として負債に計上します。こうして各資産及び負債の時価を算出し時価純資産額を算出します。

■貸借対照表を時価修正し時価純資産を算出(※イメージ)

営業権の算出方法

最後に、営業権の評価方法についてみていきます。
当社では評価対象医療法人の実質利益1年分を営業権として評価しています。ここでいう実質利益1年分とは、医療法人の修正後営業利益に理事報酬と減価償却費を合計した金額です。修正後営業利益とは、医療法人の費用として計上されているものの、経営していくうえでは必ずしも必要ではない費用を削減し修正した営業利益です。
必ずしも必要ではない費用には、院長が普段通勤用に使用してる車の維持費用や、節税対策及び将来の自身の退職金原資として積み立てている生命保険料、保養所の維持管理費、親族への支払給与、接待交際費、MS法人への外注費などがあげられます。

■一般販管費より削減可能な費用を精査し実態収益力を算出(※イメージ)

営業権についてもう一つ論点を加えると、全ての案件でというわけではありませんが、当社の過去成約事例のデータベースから開業人気エリアかどうかといった立地的要素や、他の継承案件との相対的な収益力、診療科目の特性による患者引継ぎ率などの係数を営業権評価に反映することがあります。
こうして求めた時価純資産額に実質利益1年分の営業権を加えた合計金額が医療法人の出資持分評価額となります。

無料相談実施中

クリニックのM&Aには専門知識が必要になります。当社では無料相談を実施しております。医院継承(承継)、クリニック売却買収、医療法人M&Aをお考えの方はこちらより【✉お問い合わせ】お気軽にお問い合わせください。


人気記事


医療継承のメリットを簡単解説!

会員登録 ご登録いただくと、最新の案件情報をいち早くお届けいたします。