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クリニック開業物件を選ぶポイント

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いつもお世話になっております。医院継承(承継)、クリニックM&A仲介支援のメディカルプラスです。
本日はクリニック開業物件を選ぶポイントというテーマについてお伝えします。

先日面談したドクターのお話です。「近々クリニックの開業を考えている。でも新規開業がいいのか、医院継承での開業がいいのか悩んでいる」とのことでした。
職場の先輩ドクターが継承開業された話をきき、参考にしようとそのクリニック見学にもいかれたそうですが、その第一印象は「クリニックの外観や内装が古い…」。またカルテは紙カルテだったそうで、継承開業時には既に古くなっている内装のリフォーム、また電子カルテの導入費用など継承後にかかる費用が心配になり、それであればはじめから新規開業した方が良いのではないか?と感じられたそうです。

クリニックの開業物件を選ぶ際は、エリア、立地、戸建てorテナント、交通の利便性、賃料、1日当たり推計患者数、商圏人口、競合医院などの条件を多角的かつ総合的に検討して判断する必要があります。そういった背景から、最近は必ずしもクリニック開業=新規開業ではなく、継承開業を開業の選択肢に加えて検討されるドクターが増えています。

継承開業が増えた背景

以前はクリニック開業といえば新規開業が当たり前であり、継承開業といえば親から子へクリニックを継承する親子間継承が一般的で第三者へ医院を継承するというケースは殆どありませんでした。
昨今、継承開業が増えてきた背景には、クリニックの経営者が高齢化しているという点と、後継者がいないクリニックが多いという点があげられます。またこうした第三者への医院継承ニーズの増加ととともに、医院継承の仲介業者が増えてきたということもあります。

【新規開業】と【継承開業】どちらがいいのか?

ではクリニックの開業物件を選ぶときは、「新規開業」と「継承開業」どちらが良いのでしょうか?その答えはこれから開業されるドクターの優先順位によって変わりますが、優先順位について考える前に、新規開業と継承開業のメリットとデメリットについてみていきたいと思います。新規開業と継承開業にはそれぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。
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【新規開業】
~メリット~
◆立地の自由度が高い
◆内装の設計やデザインを一から決めることができる
◆医療機器など最新の設備で開業できる
~デメリット~
◇患者に認知されるまで時間がかかる
◇黒字になるまで時間がかかる(開業後しばらくは赤字が続く)
◇初期投資が大きくなる
◇従業員を一から採用しなくてはならない
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【継承開業】
~メリット~
◆固定患者を引き継ぐことができる
◆開業初月から利益を上げることができる
◆従業員を引き継ぐことができる
◆開業コストを抑えることができる
◆銀行融資が受けやすい
~デメリット~
◇立地の自由度がない
◇内装や設備が老朽化している
◇前院長と比較されるなどやりにくさを感じることもある
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次にクリニックを開業するうえでの優先順位について考えてみたいと思います。これから開業を考えているドクターは、それぞれ開業する目的やこんなクリニックを創りたいという想いを持たれていると思います。

例えば、

「最新の医療設備による検診に力を入れ病気の早期発見に貢献したい。」
「自身の専門性を活かして困っている患者さんを助けたい。」
「患者さんが自宅で安心して療養できるよう在宅医療に力を入れたい。」
「自費診療で保険適用外の医療サービスを提供したい。」
「ライフワークバランスを重視したい。」
「とにかく稼ぎたい。」
「極力リスクを抑えて開業したい。」

このように開業する目的はそれぞれ異なりますが、こうした想いのなかで何を優先すべきか?自身のなかで優先順位を明確化し、開業コンセプトを決めることが物件探しへの第一歩になります。

都心駅前のテナントで最新の設備を導入したいという考えと、投資コストは極力抑えたいという考えは相反します。また将来的にはドクターを雇用し、複数体制でより多くの患者さんを診療していきたいという考えと、診察室が一つしかない継承物件ではこれも相反します。MRIの導入が必須であれば、MRIが入っている継承案件はかなり希少なため、新規開業が現実的な選択肢になるでしょう。一方リスクを抑えて開業することが第一優先であれば、継承開業の方が適しているといえます。

クリニック開業は事業経営ですので、様々な制約や限られた条件のなかで優先順位を決め、取捨選択の判断が必要になるのです。

新規開業と継承開業に共通する外的要因

次に新規開業と継承開業に共通する物件の外的要因についても触れておきたいと思います。クリニックを開業するときは診療圏調査を行いますが、診療圏調査の足元人口、競合医院ともに過去のデータをもとに推計患者数を算出しています。
クリニックの開業物件を選ぶ際は、現在の診療圏調査データに加え、将来の推計人口と新たな競合が開業する可能性についても検討が必要です。

日本は今後人口が大幅に減少していきますので、10年後、20年後の商圏人口がどうなっているか行政の人口統計データなどで確認しておくことをお勧めします。
これは継承開業も同様で、将来の人口減少が顕著なエリアでは、現在の患者数を維持することが難しくなります。将来人口を確認することである程度見通しを持つことができます。
駅前などの商業地域は物件がたくさんあるため、競合クリニックが開業しやすいですが、一方郊外立地の場合、物件が少なく競合クリニックが開業しにくいという側面があります。

開業物件を選ぶ際は、実際に現地に足を運んでみることも重要です。
現地に足を運ぶことで、立地の視認性や前面道路の交通量、幹線道路や線路、河川で商圏が分かれているなど診療圏調査では見えない点が見えてくることもあります。
郊外立地の場合は患者用の駐車場台数が十分確保できるかという点や、駐車場の停めやすさという点もポイントになります。

また診療圏内にある競合医院の情報も確認した方が良いでしょう。
診療圏調査では、多くの患者さんから支持を得ている盛業医院も、高齢院長一人で週数回午前中のみ診療をしている医院も同じ1件の競合医院としてカウントされてしまいます。できれば競合医院の強弱に加え、後継者の有無についても確認しておくと良いです。
以前は高齢院長が細々と診療していたクリニックを息子が継承し、医療機器などの設備の入替えや建物の改修、ホームページリニューアル等の施策を行い、後に強力な競合医院となってくるケースもあります。
後継者の情報は継承案件であれば、売主の院長がある程度近隣医院の状況を把握していますので、直接ヒアリングすると良いでしょう。新規開業の場合は医薬品卸の営業マンやMRなどを通じてある程度情報を得られるかもしれません。

ここまで開業物件を選ぶポイントについてお伝えしてきましたが、なぜ「開業物件を探し始める前」に「開業コンセプトを決めることが重要」であるか?ということがご理解いただけたと思います。
開業コンセプトが決まれば、開業コンセプトに適した物件とはどのような物件かが明確になりますので、あとは条件に合う物件を探していくとスムーズに物件探しができるのではないでしょうか。

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*本コラムは2022年6月28日に加筆修正いたしました


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