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M&A意向表明書とは?~想いと本気度の明文化~

  • 医療継承コラム

こんにちは。メディカルプラスです。
本日はM&Aにおける「意向表明書の重要性」をテーマにお伝えしてまいります。これから医院継承をご検討の方は参考にしてみてください。

意向表明書とは

意向表明書とは、トップ面談(※M&Aにおける『売主』と『買手候補者』の面談)を終えた後、買手候補者が売主に対して「引き続き継承を検討したいです」と譲り受け希望の意向を伝える書類です。継承目的やスキーム・買収価格・スケジュール・資金調達の方法などの継承条件が記載されており、その記載条件を基準として継承を検討したいという意向を示すツールです。

買手候補者が複数いる場合は、売手に対して、それぞれの買手候補者から意向表明書を提出していただきます。
買収価格・スケジュールといった条件はもちろん、例えばスタッフの継続雇用や事業譲渡後の雇用条件、特定の診療内容や診療科目の継続などに関し、特に売手側が示したい希望があげられている場合もあります。法的拘束力のない書面ですが、継承意思を明文化して売主に示すもの、それが意向表明書なのです。

意向表明書提出のタイミングと意義

意向表明書は、売主と買主のトップ面談後、買手が継続検討の意志決定をしたタイミングで、提出することが一般的です。また意向表明書の提出は必須ではありませんので、「ひとつの売り案件に対して買いたいとする候補者が1名」といった状況であれば、意向表明書を提出することなく双方合意のうえ、円滑に基本合意契約に進むこともあります。

しかし一方で、ひとつの売り案件に対して複数の買手候補者がいる場合はどうでしょう。
売主は複数の候補者から選定しなければなりません。売主としては、自身の“希望条件”に合った“本気度”の高い候補者を選定したいと考えています。したがって複数の候補者をふるいにかけていきます。
ふるいにかける過程で、M&Aに詳しい仲介会社やアドバイザーに候補者の選定について相談をすることもあるでしょう。トップ面談の際には熱意があり継承に意欲的に見える買手候補者であっても、口頭でのやりとりです。「ぜひ買いたい」という意向が書面として明文化され、それが手元にあるという事実は売手にとって大きく、意向表明書の提出がない買手候補者は売主やM&Aアドバイザーに“本気度”が伝わりにくいため、選ばれる土俵にのれず、好条件のM&A実現が難しくなるかもしれません。自身の“想い”や“本気度”を伝えるため、意向表明書の提出をおすすめします。

意向表明書の記載事項

それでは意向表明書にはどのような内容が記載されているのか、一般的な記載内容についてご説明いたします。

➀.挨拶文

冒頭のご挨拶とともに、トップ面談時に伺った方針や理念における印象、また継承後の展望などを伝えることで売主に安心して候補者として選んでいただけ、もし継承後に診療方針変更などが生じた場合にも、双方のトラブル回避につながります。

➁.スキーム

法人の場合は出資持分の買取方法、個人の場合は事業譲渡の方法などになります。
詳しくは以下のコラムをご参照ください。

個人と医療法人の開設形態による医院継承実務上の違いについて

➂.譲渡価格

現時点で売主の希望価格を踏まえ、買主の希望価格を記載します。意向表明書には法的拘束力はありません。追加資料の確認や、次項➃記載の「デューデリジェンス」で価格に影響を及ぼす事実が見つかった場合には、条件変更の可能性があることも記載します。

➃.デューデリジェンス(買収監査)について

前提としてトップ面談時点で、共有された対象法人の資料を元に譲渡価格が提案されている状態です。そのため、のれん代の適正評価、また帳簿外債務の有無の精査について買手側の査定を前提とし、引き続き検討したい旨を記載します。結果、➂に対しデューデリジェンス(買収監査)により価格調整をすることがあります。

医院継承の流れ ⑮デューデリジェンス

➄.資金調達について

「現時点での自身の資金調達に関する状況」を、相手側に伝わるよう記載します。
状況に応じた一例として、以下を参考にしてください。
●買い手が医療法人の場合
法人資金が潤沢であれば、価格にもよりますが自己資金での買収が多いでしょう。
●買い手が個人の場合
一般的には一部自己資金、不足分を金融機関からの融資による資金調達となることが多いでしょう。

連載コラム第7弾 医院継承(譲受)にまつわる必要資金

➅.スケジュールについて

意向表明提出後に大枠で予定しているスケジュールを記載します。
主には以下の通りです。
1.基本合意契約
2.デューデリジェンス期間
3.資金調達
4.最終譲渡契約
5.引継ぎ期間
6.クロージング時期
売主に譲渡スケジュールを伝えることで、双方合意のもとM&Aを進めていくことが出来ます。

➆.その他

上記➀~➅以外に、売主やその事業に対する想い、また譲り受けの諸条件で事前に伝えておくことがあれば、必要に応じ記載するとよろしいでしょう。そうすることにより、商談の過程で伝え漏れトラブルを未然に防ぐことができます。

上記はあくまでも一例であり、意向表明書は売主に“想い”、“本気度”が伝わる内容になっている事が重要です。

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*当コラムは2022年7月29日に加筆修正いたしました。


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