いわゆる「広域医療法人」の行政手続きについて

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医院継承(承継)、クリニックM&A仲介支援のメディカルプラスです。本日はいわゆる「広域医療法人」に関する定款変更等の行政手続きについてお話したいと思います。
クリニックM&Aは分院拡大の有効な選択肢
当社には「M&Aでクリニックを買収し分院拡大をしたい」というご相談を多くいただきます。医療法人が分院を開設する際、新規開業とM&A(医院継承)の2つの選択肢があります。新規開業は立地や内装、医療機器などを一から作れるというメリットがある反面、患者様はゼロからのスタートになります。一方M&A(医院継承)では、立地や設備は既に揃っているため、自由に選べないデメリットがある反面、既に設備機材が揃っているため直ぐに診療を開始できるという点を逆にメリットと考えることもできます。そして新規開業と比較し医院継承の最大のメリットはクリニックの患者様をそのまま継承できることです。
医療法人が分院を開設する際には、所管の都道府県もしくは政令指定都市に定款変更の申請を行う必要があります。既にクリニックを開設している都道府県とは異なる都道府県に分院を開設する場合、「うちの医療法人は広域医療法人の認可を受けていないから、広域医療法人にするのは大変だよね?」というご相談をいただきます。結論から申し上げるとそんなことはありません。そもそも広域医療法人とはどのような類型の医療法人なのでしょうか?ここからは広域医療法人についてご説明いたします。
広域医療法人とは?
広域医療法人とは、医療法において明確に定義されているわけではなく、医療法人が複数の病院・診療所を開設運営する場合において、その開設する病院・診療所が2つ以上の都道府県にまたがっている場合の俗称として広域医療法人と呼ばれていました。
その理由は医療法において、開設する病院・診療所が2つ以上の都道府県をまたぐ場合、その医療法人の監督所管は都道府県から厚生労働省へ移管される旨定められていたため、医療関係者の間では俗称として広域医療法人と呼ばれてきました。確かに監督所管が都道府県から国へ移管されると聞くと、手続きが煩雑で大変そうな印象を持ってしまいます。
しかし、実際の行政手続きにおいては、平成27年4月1日「地域の自主性及び自立性を高めるための改革を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成26年法律第51号)の施行により、2つ以上の都道府県をまたぐ医療法人の監督所管は厚生労働省から主たる事務所が所在する都道府県知事へ移譲されました。
現在も以前の名残りから広域医療法人という言葉を耳にする機会は多く、今後も複数の都道府県で施設を開設運営する医療法人の俗称として広域医療法人という言葉は使われていくことと思いますが、実務上の手続きは平成27年4月1日以降国から都道府県に移管されています。
【参照】厚生労働省HP※中段【3.厚生労働大臣所管の医療法人の設立認可、届出等の手続について】
ここまで述べてきた通り、開設する病院・診療所が2つ以上の都道府県をまたぐ場合、その医療法人の監督所管は厚生労働省から都道府県知事へ移管されておりますので、同じ都道府県内で分院を開設する場合も、2つ以上の都道府県をまたいで開設する場合も行政手続きが大きく変わることはありません。
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