TOP 第三者医院継承にまつわる2つのストーリー あとがき
STORY 02 未来へつなぐ医療 ~地域とともに歩む継承の物語~ 第11章 あとがき
メディカルプラスは、佐藤内科と西村クリニックとの出会いをきっかけに医院継承専門の仲介会社として誕生しました。創業以来2024年10月までに累計200件以上の医院継承を実現し、地域医療の継続と発展に貢献してまいりました。
医院継承は、単なる事業の引継ぎではありません。それは地域の人々の健康を守る医療を次世代へとつないでいく取り組みです。高齢化が進む日本において、持続可能な地域医療の実現が求められています。
メディカルプラスは、これからも医院継承を通じて、地域医療の継続と発展を支えていきます。住み慣れた地域で誰もが安心して医療を受けられる未来のために、私たちは歩みを進めていきます。
INDEX
- 第1章医療ビル開発の記憶 2010年。医療施設に特化した建設会社に勤務していた濵田は、老朽化した診療所の建替え案件を手がけていた。主な業務は医療ビルの開発と、その後のテナント誘致だった。医療ビルとは、複数の診療科目のクリニックや調剤薬局が入居する専門施設である。患者にとっては複数の診療科を一カ所で受診できる利便性があり、医師にとっても相互送客による集患効果が期待できる。そのため、医療ビルは現在も増加傾向が続いている。医療
- 第2章開業支援に見た医療の未来 医療ビル開発では、複数のクリニックをテナントとして誘致する。各テナントの開業支援では、開業に必要な準備を一つひとつ着実に進めていく。診療圏調査に基づくニーズ分析から始まり、事業計画策定、資金調達、内装設計、医療機器選定、ホームページ制作、スタッフ採用、内覧会実施、取引業者の選定まで、開業までの全行程をサポートする。経験を重ねる中で、開業を成功に導くためには、適切な初期投資の設定が何より重要だと実
- 第3章佐藤恵三との出会い 2013年8月、歯科医師の佐藤悟(37歳)から問い合わせがあった。父・恵三(75歳)が営む佐藤内科の建替えを検討しているとのことだった。佐藤内科は千葉市内で開業する地域密着型のクリニックである。かつては19床の病床を持つ有床診療所だったが、20年ほど前に病床を廃止。築38年を経て建替えの時期を迎えていた。悟は千葉市内の歯科クリニックに勤務医として勤めていたが、建替え後の医療ビルでの開業を視野に入
- 第4章変わりゆく医師たちの選択 博は都内の大学病院で勤務医として研鑽を積んでいた。妻の正美(40歳)、2人の子どもとともに都内で暮らし、近々准教授への昇進も決まっていた。恵三から電話があった週の夜、子どもたちが寝静まった後、博は正美に相談を持ちかけた。「父が実家を建て替えるらしい。私に継いでほしいと考えているようだけど、どう思う?」正美は「あなたがやりたいと思うならいいと思うけど、大学はどうするの?」と返した。正美は博の性格を
- 第5章失われゆく街の診療所 2015年12月、濵田は千葉県佐倉市の西村クリニックの待合室で診察が終わるのを待っていた。師走の肌寒い日、受付時間を過ぎているにもかかわらず、10名近い患者が診察を待っている。院長の西村禮次郎(74歳)は、神奈川県出身の医師である。慈恵医大を卒業後、30歳で妻の香苗と結婚。38年前、36歳のときに義父からクリニックを継承した。温厚な人柄と丁寧な診察で評判のクリニックだ。濵田と西村の縁は、7年前に
- 第6章創業 ~可能性への挑戦~ 2016年8月8日、濵田は医院継承専門のM&A仲介会社「メディカルプラス」を創業した。創業メンバーは濵田と加藤の2名。オフィスは前職の一角を間借りした6畳ほどのスペースだった。会社案内や名刺、ホームページなど、必要なものを一つずつ整えながら、新しい事業の第一歩を踏み出した。地域医療の現場では、開業医の高齢化が進み、後継者問題が顕在化していた。一方で、新規開業を目指す医師たちは、開業場所選
- 第7章運命を変えた一本の電話 創業からまもなく、佐藤内科から思いがけない連絡が入った。恵三が診療中に倒れ、救急搬送された。幸いにして症状は軽い心筋梗塞で、5日で退院できる状態だった。しかし、この出来事は恵三に大きな決断を促すことになる。退院から数日後、濵田は恵三の自宅を訪れていた。「あと2、3年は続けるつもりだった。しかし、自分が倒れたら後継者を探すのも難しくなる。家族に迷惑をかけないためにも、これを機に引退しようと思う。」
- 第8章後継者探し ~希望への道のり~ 後継者探しは思うように進まなかった。第三者継承という選択肢自体が珍しく、「親子間でさえ継承は難しいのに、第三者が引き継ぐのは無理があるのではないか」、「長年培われた診療方針や患者との関係を、新しい医師が引き継ぐのは難しいのでは」、「職員の高齢化や設備の老朽化など、リスクが大きい」など、周囲からは様々な否定的な声が寄せられた。濵田と加藤は様々なアプローチで後継者探しを進めた。医薬品卸、医療機器ディ
- 第9章医療をつなぐ出会い 清水夫妻が佐藤内科を訪れたのは、穏やかな秋晴れの日だった。濃紺のスーツに身を包んだ清水は、やや緊張した面持ちで新潟銘菓の手土産を差し出した。院長室での面談で、恵三は40年に及ぶ診療の歴史を語った。開業当時は周辺に何もない土地だったが、ある患者の勧めで決断したこと。その患者は今でも通院を続けており、その娘や孫までもが患者となっていること。そうした話からは、地域に根差した医療の真の価値が伝わってきた
- 第10章受け継がれる診療所 譲渡契約締結から4ヶ月後、恵三の最後の診療日を迎えた。早朝から多くの患者が訪れ、受付には感謝の花が次々と届けられた。中には30年以上の付き合いという患者も多く、別れを惜しむ声が絶えなかった。スタッフ一同から贈られた花束を手に、恵三は感慨深げに言葉を紡いだ。「皆さんと妻の支えがなければ、ここまで続けることはできませんでした。本当にありがとうございました」昌子の目には、わずかに涙が光っていた。開業以
- 第11章あとがき メディカルプラスは、佐藤内科と西村クリニックとの出会いをきっかけに医院継承専門の仲介会社として誕生しました。創業以来2024年10月までに累計200件以上の医院継承を実現し、地域医療の継続と発展に貢献してまいりました。医院継承は、単なる事業の引継ぎではありません。それは地域の人々の健康を守る医療を次世代へとつないでいく取り組みです。高齢化が進む日本において、持続可能な地域医療の実現が求められてい
