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連載コラム第2弾 《医院運営の三本柱》#4 労務・税務部門

  • 医療継承コラム

本日は当社の仲介により埼玉県草加市にある「柳島クリニック」を継承開業された、吉川英志先生に寄稿いただきました連載コラム『クリニックを継承開業した経験から見えた医院継承とは?』をお届いたします。

今回は前回に引き続き《医院運営の三本柱》の労務・税務部門をご案内いたします。

実際に継承開業された吉川先生ご自身が感じられた重要なポイントを語っていただいております。これから医院継承をご検討される先生方にとってご参考になる内容となっておりますので、是非最後までご覧ください。

医院運営の三本柱のひとつ「労務」

「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すを上とする」

故野村克也ヤクルトスワローズ監督が好んだ言葉の一つですが、これは彼自身の言葉ではなく政治家後藤新平の名言です。自身がスワローズファンでもあり、プロ野球選手会による移植チャリティーイベントなどを通じて、色紙を頂いたことなどから、私もこの言葉を非常に大切にしております。最近の医療系サイトでの「医院運営において困難が多いことは」というアンケート調査において、ダントツで1位であった事項は「人材採用」、実に8割強の先生方がこれを実感しておられます。人を採用し教育し育てる、これはどういった場所でも非常に難しい、しかし最も重要なことのひとつであることに違いないでしょう。
さて、今回4回のシリーズでお送りする、医院運営の三本柱、保健、労務、税務の最終回、「労務」「税務」に関してお付き合い頂きます。「労務」に関しましては特に答の無い事項も多く、皆様と一緒に考えていくというスタンスですので、ご了承願います。

労務への不満 ~自身の経験から~

早速自身の経験談で恐縮ですが、継承開業前、色々な経験をしたことがありますが、労務、人事は自身の仕事ではありません、言い換えますと自身で対応ができませんでしたので、あまり良い思い出はありません。
例えば看護師が配置されていない、標榜科によっては現実にあるのでしょうが、月100件以上の採血を自ら行い、同時に、小児のワクチン詰めから注射までを介助無しにひとりでこなす。幸運にも来て頂けた看護師さんでしたが採血できず医師が施行すること度々、感染症の患者さんの採血は拒否、あるいはまた、検査技師さんで検査予約が入っているにも関わらず当日欠勤度々、順調な勤務も急病・切迫(これはある意味仕方がありませんが)にて当日から来院できない、などでの苦労が多々ありました。また、自身の時間外労働、毎週の往診あるいは数十件の予防接種は昼休みに対応、在宅は24時間365日の拘束など、かなりのことをやって来ました。
さすがに、事務・会計までは経験がありませんが、医師免許があればできることはほぼフォローしてきましたが、お気づきの通り非常に効率が悪い、縦に直列に仕事が並びますと、時間を有効に使えません。こういった時空が止まった竜宮城、内容は楽園どころか刑務所ないし終戦を知らないジャングルでの生活は、苦痛でさえあり、決して長続きはしません。

労務管理の重要性 ~社会保険労務士の役割~

こういった医院の立て直しにおいて、分業は重要(現在ではあたりまえのこと)で、効率化、収益を考えれば、アウトソーシングまで含め仕事の分散が必要ですし、開業では自身開設管理院長の意志のもとでそれらが可能となります。
継承開業の場合、個人開設医院の継承であれば、前医院のスタッフをそのまま再雇用することも可能ですし(但し、労使問題、職員間問題が無いことが前提です)、逆に新たな職員の採用も可能です。
法人の場合は継続した雇用が課されます。それゆえに、多くの場合、新規の職員採用の必要が無く、開業を有利に進めることが可能で、冒頭に書きました人材採用の困難という点が克服できます。ただし、この安定は長く続くこともあれば、様々な問題により、補充、再建が必要になることがしばしばであり、そこはかなりの労力(これは院長、事務長を中心に、時に職員全体に関わる事態にまで発展します)が必要となります。ここからが、本当の採用や教育の困難さであります。
労務に関しましては、法律で定められる専門的な事項が多く、問題が発生してからでは遅いですので、継承開業をお考えの先生方は是非、最初から社会保険労務士と契約されることをお勧めしますし、医院継承の専門であるメディカルプラスさんにご相談され、社労士の紹介をしていただく事をお勧めします。

医院での労務管理 ~雇用と有給休暇~

まずは雇用契約書類(労働条件通知書ほか誓約書、秘密保持、補償などの書類)の作成ですが、勤務時間、基本給、諸手当、法定時間外労働割増率、〆・支払日、昇給、賞与、退職金、その他退職や解雇の概要、基準などを職員個々に作成しなければなりませんが、ここも専門的かつ微妙なニュアンスを要するところのため、社労士を交えて相談することが望ましいでしょう。場合によってあるいは事業規模によっては就業規則の作成もお勧めします。日々の労務管理は基本タイムカードで十分です。
ただし、忘れてはいけないのは、医師すべて、開設管理者を含めてのタイムカードないしは出勤簿をつけることを忘れないでください。個別指導で持参、提出が求められます。有給休暇は医療現場では非現実的でしたが、働き方改革の一環として2019年4月労働基準法が改正され、年次有給休暇の5日以上の取得が義務付けられました(取得基準を満たしていれば)。
特に看護師の有給休暇は従前悩ましいところでしたし、繁忙期や突然の休暇に対し後付けで有給申請する方がいますが、これは基本駄目でして、職務をわきまえて、①事前申告制にする②繁忙期は避ける、のが原則です。

医院での労務管理 ~採用と人材教育~

さて、急な就労困難(インフルエンザ罹患などによる欠勤)は、皆でカバーし合えますが、少し休暇が長くなる場合にはスポット派遣も必要で、特に看護師はスポット派遣が可能な会社がMC他極めて限られていますので注意が必要です。繁忙期など状況は更に大変で、パート職員の採用も必要な場合があります。職安、ネット系、HP、チラシ、知人、時に人材紹介会社などあらゆる手段を講じる必要がありますが、日頃から余裕を持たせた勤務体系にしておく、人材確保のために各企業と基本契約を交わしておくことをお勧めします。
心身を病んだり、長期療養が必要である場合など、有給休暇、傷病手当を使い雇用を維持できますが、いよいよ退職という場合は新たな雇用も必要です。先の募集によりますが、どこで良い人材が見つかるかは一概に言えません。更に、辞職、解雇などが関わる場合は必ず社労士他に相談し、十分な話し合いが必須です。素人判断での対応は禁忌です。

以下蛇足ですが、職員教育は難しく、以前は(勿論コロナ禍以前ですが)、お弁当を配っての勉強会も良かったですが、時間外で非協力的な場合もあり、小児科での点滴・採血技術、自ら率先しての掃除・診療準備なども最近は以前の感覚とは違って医学教育・人材育成の壁を感じます。
採用では、駅近は集患と全く関係なく有利ですし、駐車場も地方部では有利でしょう。女性が多い職場となり易いので、派閥形成、一致団結し易いですが、悪い方へ向かえば集団離職など最悪のこともあり得ます。院長の他に、敏腕な検査技師兼事務長などが居れば良くまとまるかも知れません。

医院運営の三本柱のひとつ「財務」~公認会計士・税理士の役割~

それでは最後に「税務」、要するにお金のことですが、収益、支払双方向性、今回は更に資金調達、集患、広告や経費なども含めた概念とお考え下さい。まず継承開業における資金調達ですが、自己資金、借り入れを含め、事業全体を見据えての評価となりますので、是非、医院継承のメディカルプラスさんにご相談ください。親身になって相談にのってくださいますし、開業の夢を実現させてくれます。税務・会計は始まりから1年の終わりまで、更には翌年の所得税・予定納税、住民税、固定資産税、事業税、3年目からは消費税と、これらも各方面に複雑な計算が必要になりますので、最初から公認会計士・税理士事務所とご契約ください。メディカルプラスさんはこちらにも相談にのって頂けます。継承後の実務としましては、個人事業の場合は青色申告承認申請、個人事業の開業届出、給与所得事業所等の開設届出、源泉所得税の納期特例承認申請などの提出でしょう。

一方、日々の実務としましては、収入の管理は電子カルテが、社保、国保、後期高齢者、自費診療の全てを集計してくれますので毎日の日計を保存してください。加えて、窓口での現金分は領収書を毎日保管してください。いずれも個別指導時の持参・提出書類となります。他は入金通帳にて事足りますが、社保に関しては確定申告開始時期直前に源泉徴収票が送られます。支出面は、通帳、出金用クレジットカードの明細、領収書(キャッシュ払)の記録、保管で、経費の算出などを含め、あとは全面的に会計士・税理士にお任せすることになると思います。

医院にとっての患者さん ~集患ということ~

最後に集患、広告についてですが、一長一短ありというのはどこでも言われ尽くされたことでして、患者さん同士のクチコミを重要視する先生方は多いです。自身、お子さんのママ友のネットワークや外国人コミュニティのネットワークはかなり強力な印象です。ネットでのクチコミは若い世代の患者さんの不満のはけ口になっているように思います。内容は、優しい先生、綺麗な医院、受付の態度など医療と関係があるのかと思われる個所しか書き込まれませんので、医師の腕や見立ては二の次ですし、そこらは患者さんには判断できません。病診連携による逆紹介は嬉しいことですが、今の時代、民間の病院からは決して逆紹介して頂けないでしょう。その意味では公立病院は良いと思います。患者さんは、名前で病院へ行く、そして、場所で医院(クリニック)へ行く、と良く言われますが、そこはほぼ間違いないと考えます。医院開業、継承開業含め場所がすべて、競合の無い場所で、これが宣伝、努力以上の最大の集患条件でしょう。

医院運営の三本柱まとめ ~医院継承・開業の盲点~

さて、4回にわたり医院運営の三本柱であります保健、労務、税務について医院継承・開業の死角、盲点といった論点でまとめて参りましたが、一部には私見を交えておりますし、実務を重点的に医師の立場からのものであり、専門の方々からのご批判もおありかと思いますが、そこら辺りは差し引いてお考え頂けますと幸いに思います。さらに詳しい専門家の方々の資料をご参考にして頂くための、取り掛かりともお考えください。何らかの形で少しでもお役に立てますとこれ以上ない喜びであります。長らくお付き合い頂き大変感謝しております。皆さまの益々のご繁栄とご多幸をお祈りして、一旦筆を置かせていただきます。次回新たなテーマでまたお会いしましょう、失礼致します。

 

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