親子で医院を継ぐときに大切なこと ~円満な医院継承のための3つの視点~

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こんにちは。医院継承・クリニックM&A仲介支援のメディカルプラスです。過去記事「クリニックを誰にどう引き継ぐか悩んだら~継承の3つの選択肢~」では、医院をどのように未来へつなぐかという視点から、親子間継承・院内承継・第三者継承の3つの方向性を整理しました。その中でも「親子で継ぐ」というのは、理念や地域への思いを最も自然な形で受け継げる理想的な継承といえます。

クリニックを誰にどう引き継ぐか悩んだら ~継承の3つの選択肢~

一方で、親と子それぞれの立場や医療観の違いから、思い描いたように進まないケースも少なくありません。実際に弊社にご相談を受ける中でも、2025年現在も変わらぬ課題として「子どもが医師だが継ぐか分からない」や「タイミングをどう考えればいいか悩んでいる」といった声をよく伺います。そこで本記事では、親子で医院を継ぐときに意識しておきたい3つの考え方を整理しました。お互いの思いを尊重しながら、円滑にバトンを渡していくためのヒントとして、ご参考いただけますと幸いです。

親子間の医院継承を成功させるための3つの考え方

これまで弊社が多くの先生方からお話を伺う中で感じるのは、親子間での医院継承は、特別なノウハウや手順よりも、日々の関わり方や、お互いの考え方への理解が影響することが多いということです。親子であっても、それぞれに異なる経験を重ね、見てきた景色や感じ方は少しずつ違います。立場や世代の違いから、考え方がすれ違う場面は珍しくありません。

そうしたとき、どのように向き合い、歩み寄っていくかが、大切な視点になるように思います。ここでは、親子で医院を引き継ぐ際に意識しておきたい3つの考え方を挙げてみます。

①. 早めに意思確認を行う

親子で医院を継ぐかどうかを考えるとき、最初の一歩は「子どもに継ぐ意思があるかどうか」を早めに確認することです。これは単なる形式的な確認ではなく、家族の将来設計や医院の方向性を共有するための重要な対話になります。

「まだ早いかもしれない」「自分が元気なうちは話さなくても大丈夫」と思われる先生も多いですが、実際には早めに話を始めておくことで、その後の選択肢が大きく変わります。もしお子さんが継ぐ意思を持っていれば、診療科の選択や勤務先、開業までのステップを意識しながらキャリアを組み立てられますし、逆に継ぐ予定がない場合も、第三者への継承や法人整理など別の選択を早期に検討できます。

また、兄弟姉妹の中に複数の医師がいる場合や、配偶者も医師というケースでは、それぞれの立場や希望を早めに整理しておくことで、後々の誤解や相続トラブルを防げます。医院の将来は、家族の人生そのものとも深く関わっています。だからこそ、「そろそろ話しておこうか」と思ったときが、最も良いタイミングです。少し早めの意思確認こそが、後悔のない継承への第一歩と言えるでしょう。

②. お互いの立場と考えを尊重する

続いてはお互いを尊重するということです。親子間継承で難しさを感じる場面の多くは、診療方針や働き方、患者さんとの向き合い方など、医療に対する考え方の違いから生じます。若先生は大学病院や基幹病院で最新の医療を学び、エビデンスに基づいた診療を重視する傾向があります。一方で大先生は、長年にわたり地域医療を支え、患者さん一人ひとりの背景を踏まえた判断を積み重ねてこられました。この二つの視点はどちらが正しいというものではなく、時代や環境の中で育まれた違いと私どもは感じています。

これまで多くの先生方からお話を伺う中で、親子ほど価値観の違いが鮮明に現れる関係も少ないと感じることがあります。それでも、大先生が若先生の提案を「新しい考え方」として一度受け止め、若先生が大先生の判断を「経験に裏打ちされた知恵」として尊重することができれば、お互いに良い関係が築かれます。大切なのは、どちらかの考えを押し通すことではなく、違いを理解したうえで、医院としての最適な形を一緒に探っていく姿勢です。

お互いを尊重するというのは、意見が一致することではなく、「相手の考えにも理由がある」と認めることから始まるのかもしれません。そうした瞬間に立ち会わせていただくたび、親子継承の本質は思いの違いをどう受け止めるかにあるのだと、改めて感じます。

③. 口出しをしすぎない

親子で一緒に診療を始めると、「それは違う」「こうしたほうがいい」と、つい意見を伝えたくなる場面があります。それ自体は医院を良くしたいという思いの表れですが、相手の立場を尊重しないまま言葉にしてしまうと、親子でも衝突につながることがあります。実際、大先生と若先生の意見が食い違うと、スタッフがどちらの指示に従えばよいか迷い、現場が混乱することも少なくありません。親子間の関係がぎくしゃくしてしまうと、他人同士よりも感情の修復が難しくなってしまうのが現実です。

過去にあった事例では、若先生が実家のクリニックを継ぐために戻り、院長と副院長の二人体制で診療をスタートしました。しかし3か月ほど経った頃、診療方針の違いから意見がぶつかり、そのまま信頼関係を立て直すことができず、若先生は半年後に別の地で開業することになりました。大先生も若先生も、決してそのような結果を望んでいたわけではありません。

この事例が示すように、「良かれと思っての言葉」が関係を遠ざけてしまうこともあるのが親子継承の難しさです。立派な後継者がいるにもかかわらず残念な結果にならないためにも、やはりお互いの立場を尊重し、「任せる勇気」と「信頼して見守る姿勢」を持つことが、円滑な継承には欠かせないように思います。

親子間継承を前向きに進めるために

親子間での医院継承は、理念や思いをもっとも自然な形で受け継げる方法です。しかし実際には、立場や考え方の違い、ほか様々な理由から思うように話が進まないケースもあります。重要なのは「親子だからうまくいくはず」と決めつけず、冷静にコミュニケーションを重ねていくことです。「意思確認のタイミングを早め」、「相手の立場を尊重し」、「任せる勇気を持つ」。そうした姿勢の積み重ねが、信頼関係を深め、円滑な継承につながります。親子間継承を成功させるためには、時間をかけて対話を重ねることそのものが、最大の準備なのかもしれません。

また結果的に「親子での継承が難しい」と判断される場合もあると思います。そうしたときに選択肢となるのが、クリニックM&Aを手段とした第三者による医院継承です。第三者医院継承は、先生が築いてこられた地域医療を絶やすことなく、開業を希望医師に引き継いでもらう方法です。これまで診てきた患者さんが安心して通える環境を守りながら、先生ご自身も納得いく形で次のスタートをきることが可能です。

第三者医院継承のメリットとデメリットについては、こちらにまとめました。
全体を把握しやすいよう整理しましたので、ぜひご参考ください。

売主様向け|医院継承のメリットとデメリット

医院継承に関する無料相談実施中

親子間での継承を検討していても、実際に話を切り出すタイミングや進め方に悩まれる先生は少なくありません。またご家族のご意向や医院の規模によっては、「第三者による医院継承(クリニックM&A)」という形を検討されるケースも増えています。メディカルプラスでは、先生のご事情に応じた最適な継承方法を一緒に考え、第三者医院継承をご選択された場合、円滑に次世代に地域医療を渡していくためのサポートを行っています。

ご自身の医院を今後どうすべきかは、一朝一夕に答えを出せるものではありません。「どこから手をつければよいかわからない」「誰に相談すればいいか迷っている」という段階から、お気軽にご相談ください。経験豊富なアドバイザーが、医院の現状やお考えを丁寧に伺いながら、先生に合った医院の将来への考え方をご提案いたします。小さなことから初めたいという想いがスタートとなりますので、こちらから【お問合せ】お気軽にお問い合わせください。

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