医療機関M&Aには医療法の知識が必要!クリニックと通常のM&Aとの違いとは?

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こんにちは。メディカルプラスです。
今回はクリニックM&Aの特殊性についてお伝えしてまいります。開業医の高齢化が進んでおり、一方で個人の働き方の選択肢が多様化している昨今では、ご家族・ご親族がクリニックを継承するとは限りません。後継者を得る一手段として認知度や注目度の増しつつあるクリニックM&Aですが、その特殊性や困難性についてはあまり知られていないようです。この記事では、クリニックM&Aと一般的なM&Aの異同点に重点を置き、その特殊性について説明していきます。
クリニックM&Aの専門性は高い
弊社では後継者をお探しのクリニック様と、開業を希望する方双方のご縁結びをする「第三者継承支援」を行っております。その初回お問い合わせ時に「クリニックM&Aには気を付ける点がありますか?まずは問い合わせてみました」といった、漠然と困難性をはかりかねてのご相談は少なくありません。前述したとおり、その特殊性と困難性についての認知度はまだまだ低いと感じております。
確かにM&Aの全体スキーム自体については、クリニックでも一般企業におけるM&Aと大きな相違はありません。事前相談から始まり、マッチングを経て、MOUの締結、デューデリの実施など、一般企業のM&Aとほとんど同じ流れです。では、クリニックM&Aは、どのような点で特異といわれるのでしょうか。大きく3つの点から考えていただくと、ポイントが見えやすくなります。
①. 行政手続きや契約面が、通常のM&Aに比べ煩雑で難しい
②. 一般企業のM&Aに比べ、ステークホルダーが多く、調整が難しい
③. 医業特有の許認可制度やクリニックの経営に精通している必要がある
それでは個々に見ていきましょう。
手続きと契約面が特殊
まず、一つ目の手続きや契約面についてご説明いたします。
クリニックM&Aはその類型や開設主体の条件により、進め方や注意点などがガラリと変わります。たとえば「個人クリニックか」「医療法人なのか」という点で内容が変わり、また医療法人であっても「旧法の医療法人(持分あり)」なのか、それとも「新法の医療法人(持分なし、基金供出型)」なのかによって、手続きも契約の内容も異なってくるのです。
医療法人のM&Aには「出資持分譲渡」と「事業譲渡」がありますが、それぞれの手続きはまったくの別物です。またクリニックM&Aでは金銭授受が発生しますが、それに伴ってかならず税金の問題も生じてきますので、税務の知識は必須です。加えるならば、事業譲受する側の事業形態についても考慮しなくてはいけません。クリニックM&Aが、一般的なM&Aに比べて特殊性が高く、同時に煩雑性も高いことがご理解いただけるでしょう。
ステークホルダーの調整が特殊
一般的なM&Aと比較すると、ステークホルダーが「健康」「命」「人の身体を預かる仕事」んどのキーワードでつながりを持つ方々であることも、クリニックM&Aの特殊性として挙げられます。患者・その家族・医療スタッフをはじめとする従業員など、ステークホルダーの種類は多岐に渡り、ビジネスライクな思考だけでクリニックM&Aを成功させることは困難です。対応力・想像力・対話力の各方面において、気遣いや温もりを忘れない“人間力”を活かした調整が必要になります。そのうえで利益を最大化することが求められますので、クリニックM&Aがいかに難しいものなのかがお判りいただけるのではないでしょうか。
医療業界への専門的知識が必須
そしてクリニックM&Aを手掛けるには、患者情報の引継ぎや届出のタイミングなど、医療制度に関する深い知識と、クリニック経営に関する専門的な知識が必要です。株式会社制度の一般企業とは、根本的に異なる部分になります。
このように、医業特有の事情に深い理解を示したうえで、通常のM&Aよりも細かい調整や手続きが必要になるのが、クリニックM&Aと言えるでしょう。
クリニックM&Aは個人で行うには難しい領域
こういった点に鑑み、個人で行うことがなかなか難しい領域なのがクリニックM&Aと言えるでしょう。実際に自身で色々と調べて進めることにより、深い理解を得られるといったメリットはあるかもしれません。しかし時間は有限です。専門家のサポートがあれば、必要な知識をスピーディーにインプットし進めることが可能になります。
またクリニックM&Aを専門的に手掛ける業者以外に依頼することは、あまり正しい選択とは言えません。医療法を熟知したクリニック特化の仲介業者をパートナーにする事を、おすすめいたします。
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