親子間の医院継承を成功させるために大切なこと

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医院継承(承継)、クリニック売買、医療法人M&Aのメディカルプラスです。本日は「クリニックの親子間継承を成功させるために大切なこと」というテーマについてお伝えしたいと思います。
先日のブログ【クリニックを譲渡する際の選択肢】で、クリニックの譲渡、継承をお考えになる際、子供に医師がいる場合には先ず子供に継承する意思があるかどうかを確認してくださいとお伝えしました。
親子間医院継承を成功させるポイント
子供に継承する意思がある場合、スムーズにクリニックを継承するために以下3つの点が重要だと考えます。
①早めの意思確認
②お互いを尊重する
③口出ししすぎない
①早めの意思確認
まず始めに子供への早めの意思確認についてですが、本ブログでも何度もお伝えしているように早めに子供の意思を確認することによって、その分後で取れる選択肢を増やすことが出来ます。また子供にドクターが複数いる場合など、それぞれの意思を早めに確認することにより後々相続で揉めてしまうということも防げます。
②お互いを尊重する
続いてはお互いを尊重するということですが、若先生は大学を卒業してから実家に戻るまでの間、大学病院や基幹病院で最新の医療を学び、臨床経験を積んできました。一方で大先生は最新の医療は学んでいないかもしれませんが、長年に渡り多くの臨床経験を積んできました。そうしたベースの違いにより、若先生が実家に戻り、診療に入り始めると診療方針や患者に対する考え方などで相違点が生じてきます。特に大先生と若先生の専門分野が同じ場合はこのようなことが起こりやすいです。しかし、これは医療を学んだ時代と育った環境が違うので仕方ないことだと思います。
ここで大事なことはお互いに相手の立場を尊重するということです。大先生は若先生が最新の医療を学び実家を継ぐために戻ってきたのであれば、若先生の診療方針にきちんと耳を傾ける必要があります。一方、若先生は大先生が行っている医療は大学病院で学んだ医療と違い、古い医療だと感じるかもしれませんが、大先生には豊富な臨床経験がありますので、長年の経験と勘による暗黙知は一朝一夕では身につきません。
③口を出ししすぎない
三番目は口出しをしすぎないということです。②にも通じますが、お互いの立場を尊重せずに「間違っている」「こうすべき」「言う通りにすれば良い」というように自分の意見だけを相手に押し付けてしまうと、親子間で衝突してしまうことがあります。大先生と若先生が衝突してしまうとスタッフはどちらの指示に従えば良いかわからず、現場にも混乱が生じます。親子関係がギクシャクしてしまうと、親子であるがゆえに関係を修復するのが難しくなってしまうことがあります。
過去に実際にあった事例では、若先生が実家のクリニック継承に向けて実家に戻り、院長、副院長の2名体制で診療を行っておりました。3か月ほど経った頃、院長と副院長が診療方針の違いで衝突し、そのまま信頼関係を修復することはできず、結局半年後に実家を出て、ほかの場所で開業してしまったという事例がありました。
この事例では、大先生も若先生も決してそのような結果を望んでいたわけではありません。立派な後継者がいるにも関わらず、このような結果とならないようにするためには、やはりお互いの立場を尊重することが一番大切なことではないかと思います。
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