政府が2018年度より税優遇措置「事業承継税制」制度創設の方針

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日本政府が事業承継税制制度を創設
今朝の読売新聞朝刊の第1面に「中小・零細企業 代替わり税優遇拡大」と題した記事が掲載されていました。
記事の内容は、政府が中小企業の代替わりを後押しするための優遇措置として「事業承継税制」を2018年より10年間期限付き特例措置を設けるというものです。
現在も事業承継に関する税制の優遇措置は設けられております。現在の優遇措置では、会社の経営者から親族などが事業を引き継ぐ際、本来なら譲り受ける株式に贈与税や相続税が掛かりますが、優遇措置の適用を受けると後継者が事業を続ける限り、株式総数の3分の2について納税が猶予されます。しかしこの優遇措置を受けるには「継承後5年間で8割の雇用維持」などの要件を満たす必要がありました。また納税が猶予されるだけで免除されるわけではありませんでした。
そこで2018年度より10年間に限り、雇用維持などの要件を撤廃し、後継者が一定期間事業を継続することで納税を免除する制度の創設を検討しているとのことです。さらに今までは優遇措置の対象となるのは株式総数の3分の2までだったのに対し、株式総数の100%が優遇措置の対象となることで円滑な事業承継を後押ししようというものです。
また事業承継がスムーズに進むようにM&Aを行う際にかかる登録免許税や不動産取得税の負担を軽くする制度も新設され、さらに後継者の運転資金などの資金調達に関しても低金利で融資を受けられる制度も設けるとのことです。
紙面では、経済産業省によると2025年時点で70歳を超える中小企業経営者は約245万人に上り、うち127万人は後継者の目途が立たない見通しとあります。
この245万人には病院やクリニックを経営するドクターも含まれていると推測されます。厚生労働省の平成26年の調査では診療所に勤務する医師約10万人(そのほとんどが開業医)のうち、60歳以上の割合が約45%で約4万5000人、そのうちさらに70歳以上の割合は約19%で1万9000人がこの世代に該当しており、2025年にはその割合は更に高くなります。
【医師高齢化についてのブログ記事はこちら】
人口動態や後継者世代の家業を継ぐという価値観や市場環境の変化など様々な要因がありますが、業種や地域を問わず日本の多くの企業がこうした後継者問題に直面しています。
このように今後も政府が事業承継を後押しする制度を積極的に創設することで、日本経済が活性化させていくことは大事なことだと思います。
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