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医療法人の事業報告について

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医療法人の事業報告

医院継承(承継)、クリニック売買、医療法人M&Aのメディカルプラスです。

本日は医療法人が医療法に基づき行う必要がある各種届出事項についてお伝えいたします。

医療法人は医療法において行政への定期的な報告が義務付けられています。
当社は売手理事長から事業継承に関する相談を受けた際、先ず当該医療法人が過去に医療法で定められている行政への事業報告を適正にしていたかを確認しますが、適正に報告をしている医療法人は全体の約6割~7割程度のように感じます。という事は、約3割~4割の医療法人では医療法で定められている定期報告を行っていないということになります。

事業報告をしてしないと定款変更が否認されるリスクがあります

医療法人は医療法で毎年1回都道府県への事業報告が義務付けられています。事業報告を行っていない医療法人は、事業継承に伴い都道府県へ定款変更申請を行った際に否認され定款変更ができない可能性があります。
さらに医療法人は毎年決算が終わるたびに年1回会計年度最終日の純資産額を法務局へ登記し、都道府県へ登記届を提出する必要があります。また理事の任期である2年に1回役員の登記も法務局へ行うことが義務付けられています。役員の登記を行った際も都道府県へ登記届を提出する必要があります。なかにはこうした純資産額の登記や役員の登記を医療法人設立後1度も行っていない医療法人もあり、その場合は過料が科せられてしまいます。

事業報告や登記を行っていない医療法人を継承する場合には、過去に遡り事業報告と純資産額の登記を行う必要があります。過去何年間に遡り事業報告及び登記を行うかは都道府県や法務局の見解により異なります。原則として法人設立後から現在に至るまで全期間遡って報告を行う必要があると考えておいたほうが良いでしょう。

売主の理事長に話しを聞くと、そもそもこのような報告を行う必要があること自体認識していなかったという方がほとんどです。あるいは理事長が変わっていないので役員の登記をする必要はないと思われていたケースもあります。しかし役員は改選された時だけではなく、任期満了による重任の際にも登記を行う必要があります。

事業報告と登記事項の届出

都道府県への「事業報告」については医療法第51条及び第52条において、

医療法第51条
「医療法人は、毎会計年度終了後二月以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、関係事業者(理事長の配偶者がその代表者であることその他の当該医療法人又はその役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者をいう。)との取引の状況に関する報告書その他厚生労働省令で定める書類(以下「事業報告書等」という。)を作成しなければならない。」

※参照 医療法第51条

医療法第52条
「医療法人は、厚生労働省令で定めるところにより、毎会計年度終了後三月以内に、次に掲げる書類を都道府県知事に届け出なければならない。」
一 事業報告書等
二 監事の監査報告書
三 第五十一条第二項の医療法人にあつては、公認会計士等の監査報告書

※参照 医療法第52条

と規定されています。また「医療法人の登記事項の届出」の届出については医療法施行令第5条12項及び13項それぞれにおいて、

医療法施行令第5条の12
「医療法人が、組合等登記令(昭和三十九年政令第二十九号)の規定により登記したときは、登記事項及び登記の年月日を、遅滞なく、その主たる事務所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。」

※参照 医療法施行令第5条の12

医療法施行令第5条の13
「医療法人は、その役員に変更があつたときは、新たに就任した役員の就任承諾書及び履歴書を添付して、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。」

※参照 医療法施行令第5条の13

と規定されています。

医療法人が行う具体的な届出事項について、東京都福祉保健局「医療法に基づく各種届出の徹底について」というページに分かりやすくまとめられていたので以下に引用します。

1 役員変更届(医療法人役員変更届)
医療法人は、役員に変更があった場合(任期満了による重任の場合を含む。)は、医療法人の役員変更届を、遅滞なく、東京都知事あてに提出すること。
※役員に変更があった場合
(1)新たに役員に就任する場合
(2)任期途中で役員を辞任する場合
(3)任期満了により役員を重任する場合・退任する場合
(4)役員が死亡した場合
(5)役員が改姓した場合・役員の住所が変更になった場合

2 事業報告等提出書
医療法人は、毎会計年度終了後2月以内に、事業報告書等を作成し、理事はそれを監事に提出しなければならない。監事はそれを受けて、監査報告書を作成し、会計年度終了後3月以内に社員総会又は評議員会及び理事会に提出する。その後、医療法人は、毎会計年度終了後3月以内に、事業報告書等及び監事の監査報告書を、東京都知事あてに提出すること。
※事業報告書等提出書添付書類
(1)事業報告書
(2)財産目録
(3)貸借対照表
(4)損益計算書
(5)監事の監査報告書

3 登記届(医療法人の登記事項の届出)
医療法人は、登記事項に変更があった場合や解散、合併、清算人の就任又は変更、清算の結了の場合には、登記を行わなければならない。登記を行ったときは、医療法人の登記事項の届出を、遅滞なく、東京都知事あてに提出すること。
※医療法人が行う登記
(1)毎年必ず登記するもの
1. 資産総額の変更(決算終了後、資産の総額を登記します。)
(2)その都度登記するもの
1. 理事長の変更
2. 定款(寄附行為)変更認可による登記事項の変更
3. 事務所の所在地の変更

これから医療法人の譲り受けを考えている方は、その医療法人が今まで事業報告や登記を適正に行ってきているか?を把握しないまま、出資持分を譲受けてしまうと、後々譲り受けた医療法人の定款変更ができず、クリニックの開設や移転が出来なくなってしまう可能性があります。これは買手にとっては非常に大きなリスクとなりますので注意が必要です。

当社では無料相談を実施しております。医院継承(承継)、クリニック売却買収、医療法人M&Aをお考えの方はこちらより【✉お問合せ】お気軽にお問い合わせください。


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