【第三者医院継承事例】東京都(都心部)×不妊治療クリニック 医療法人の経営権承継

こんにちは。メディカルプラスです。
このたび、東京都心部にございます不妊治療専門のクリニックにおいて、医療法人の経営権の承継が完了いたしましたので、レポートとしてご紹介いたします。
本件は、当社が過去に継承をお手伝いしたクリニックが、数年を経て再び次の院長先生へと引き継がれた事例です。また、譲り受けられたのは海外で長く生殖医療に携わってこられた培養士の方で、日本の患者さんにもその技術を届けたいというお考えをお持ちでした。第三者医院継承をご検討中の院長先生、また継承開業を検討されている先生方にとって、ひとつの判断材料となりましたら幸いです。
本譲渡案件の特徴
当該クリニックは、東京都心の商業エリアに立地する不妊治療専門のクリニックです。駅から徒歩圏のビル内にあり、通院のしやすさに加え、プライバシーに配慮した落ち着いた環境で診療が行える点が特徴でした。
診療内容は、一般不妊治療から体外受精を含む高度生殖医療までを一貫して提供する体制です。培養室を備え、専任の培養士および検査室の責任者が在籍。医師も常勤・非常勤を合わせて複数名が在籍し、患者さん一人ひとりの状況に応じた治療方針を立てられる診療体制が整っていました。
本件は、医療法人の法人格をそのまま引き継ぐスキーム(基金拠出者の地位の譲渡)で進めました。保険医療機関の指定、施設基準の届出、スタッフの雇用関係、各種の契約がそのまま継続されるため、患者さんにとっては院長が交代した以外の変化がほとんど生じません。生殖医療のように治療が長期にわたる領域では、この連続性が大きな意味を持ちます。
売主様のご相談背景
今回の売主様は、当社が過去に仲介をお手伝いし、第三者継承によってこのクリニックを譲り受けられた先生です。かつては買主としてこのクリニックを引き継がれ、今回は売主としてバトンを渡す立場になられました。
そのため、クリニックへの思い入れは人一倍強く、当初から積極的に譲渡をお考えだったわけではありません。ご相談の発端は、譲り受けを希望される方からの強いお申し出でした。「条件が合うのであれば、お引き継ぎいただいてもよい」というお考えのもと、慎重にご検討を進められることとなりました。
譲り受けを希望された方について
譲り受けをご希望されたのは、海外で長く生殖医療に携わり、培養士として高い評価を得てこられた方です。「これまで培ってきた知識と技術を、日本の患者さんにも提供したい」という明確なお考えをお持ちでした。
生殖医療は、医師の技量だけでなく培養室の技術水準が治療成績を大きく左右する領域です。その中核を担ってこられた方が運営に入られることは、クリニックにとって技術面での上積みが期待できる組み合わせでした。売主様が「この方であれば」とご判断された理由も、まさにそこにありました。
本案件の特徴
【クリニックの特徴】
- 東京都心部、駅徒歩圏のビル内という通院しやすい立地
- 一般不妊治療から体外受精を含む高度生殖医療までを一貫して提供する体制
- 培養室を備え、専任の培養士および検査室責任者が在籍
- 常勤・非常勤を合わせた複数医師による診療体制
- 医療法人の法人格をそのまま承継できるスキーム
【本案件の課題】
- 売主様が積極的な売却をお考えではなく、条件面の合意形成に丁寧な調整を要した点
- 譲受法人が海外法人であり、国内の医療法人の役員構成や届出の要件との整合に専門的な検討を要した点
- 新たにご就任される役員の一部が海外にお住まいで、住民票など国内の公的書類が存在しないケースがあった点
- 医療法上、監事は当該医療法人の理事または職員を兼ねることができないため、役員構成の組み替えが必要になった点
- 最終契約からクロージングまでの期間が2週間弱と短く、議事録や届出書類の準備を並行して進める必要があった点
【成約の決め手となった点】
- 譲り受けられる方が生殖医療の技術者であり、診療の質が維持・向上される見通しが立った点
- 売主様が過去に当社の仲介で譲り受けられたご縁があり、進め方について相互の信頼が築かれていた点
- 法人格を承継するスキームにより、スタッフの雇用と患者さんの治療の継続が確保された点
- 譲受側が「日本で生殖医療を広げたい」という中長期的な意思を明確にお持ちだった点
- 売主様が、譲渡後の一定期間についても引継ぎへのご協力を惜しまれなかった点
経過
本件は、2026年4月に売主様よりご相談をいただき、約5か月後の2026年9月に最終譲渡契約の調印、翌10月にクロージングを迎えました。
ご相談のきっかけは、医師の先生からのご紹介でした。4月のご相談を経て6月に正式に受託。売主様が積極的な売却をお考えではなかったことから、条件面の確認には時間をかけ、双方が納得できる水準を探りました。
一方で、方向性が定まってからは非常に速い展開となりました。9月に最終契約の調印を迎え、その2週間後にクロージング。この間、医療法人の社員・役員の交代、基金拠出者の地位の譲渡、各種届出書類の準備を同時並行で進める必要があり、売主様の顧問税理士の先生、司法書士の先生、譲受側の代理人弁護士の先生にもご協力をいただきながら、関係者が一丸となって期日に間に合わせました。
前回の継承では、ご相談から成約まで694日を要しました。今回は165日です。同じクリニックでありながら、これだけ期間が異なります。譲り受けを希望される方との出会いのタイミング、そして双方の意思決定の速さが、いかに大きく影響するかを示す事例と言えます。
本稿以外の成約実例をご覧いただくとお分かりいただけると思いますが、数か月で成約に至るケースもあれば、数年をかけて進める継承もございます。いずれの場合も、売主様・買主様双方が納得できる形でバトンをつなぐことが何より重要です。今回のように、一度お手伝いしたクリニックに再びご縁をいただけることは、アドバイザーとして何より嬉しいことでもあります。引き続き、最後まで丁寧に、誠心誠意心をこめて伴走しながら、サポートを行ってまいります。
この事例を担当したのは、弊社アドバイザー 神子 誠です
学生時代にお客様からの感謝の言葉に触れた経験からサービス業に惹かれ、自動車メーカーで9年間のサービス業務に従事。その後メディカルプラスの理念「地域医療の継続と発展に貢献する」に共感し、2018年に入社。以来、50件以上のクリニック継承支援に携わり、お客様一人ひとりのニーズに応じたきめ細やかなサポートを提供。名前の通り誠実な対応と豊富な経験が、多くのクライアントから高い評価を受けている。
