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第三者医院継承失敗事例

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事業継承が成功することで、売主側(メリット:創業者利益の確保、患者の引継ぎ、従業員の雇用継続など)と買主側(メリット:患者の引継ぎ、従業員の引継ぎ、ノウハウの継承など)双方に利益があります。一方で双方が事業譲渡に関する合意に至ったとしても、引継ぎ期間中にトラブルが生じてしまうケースや、クロージング後に経営が上手くいかないケースもあります。
そこで本コラムでは、実際の失敗例とその原因を紹介させていただきます。

ケース➀ テナント賃借権譲渡否認による案件ブレイク 

種  別:個人事業の事業譲渡
売  主:70代後半 男性医師
買  主:個人
開業形態:医療モール内のテナント賃貸による開業
失敗原因:不動産オーナーが契約名義人変更の拒否

≪医院譲渡の背景≫
親族に医師がおらず既存患者と従業員の雇用継続のため将来は継承をしたいと思案していたが、日々の忙しさから後継者問題が後回しになっていた。年齢も70代後半になり体力の衰えとともに持病も悪化しており、診療に支障をきたす恐れも出始めたため、本格的に医院継承を決断する。
いざ知人、友人、近隣クリニックなどに継承の打診をするも良い返事が聞けず、自身では後継者を探すことは不可能なため、いくつかの専門業者に第三者継承を依頼する。

≪案件化からクロージングまでの経緯≫
当該地域で複数分院展開を検討している買主が診療圏内の伸びしろに魅力を感じ、売主の継続雇用と当該案件の医療法人化の協力を条件に合意、譲渡契約前に売主と買主で不動産オーナーに挨拶、口頭で契約者変更の承諾を得られたので事業譲渡契約を締結。

≪失敗要因≫
クロージングに先立ち、売主と後継者院長の新体制で患者の引継ぎを始め、新規患者数も増え医療法人設立の手続きも順調に進んでいたが、医療法人設立申請に必要となる賃貸借契約書の契約名義人変更の申し出を不動産仲介会社経由で不動産オーナーに依頼したところ、不動産オーナーより口頭で事前承諾をとっていたが不動産オーナーの親族から「売主以外とは、賃貸借契約は締結しない」という突然の通知があった。

≪結論≫
買主は売主協力のもと医療法人設立が継承の前提条件であった為、売主から買主(医療法人)の名義でテナント賃貸借契約が取り交わせなければ医療法人設立は不可能であることから、継承案件として不成立となり譲渡契約は双方合意のもと白紙解約となる。不動産オーナーは売主以外と賃貸借契約を締結するつもりはないため、当該医院は廃院する結果となった。

ケース➁ 管理医師の内定辞退による案件ブレイク 

種  別:個人事業の事業譲渡
売  主:60代後半 男性医師
買  主:医療法人
開業形態:売主が不動産所有による開業
失敗原因:継承前から勤務していた医師(副院長)を買主(医療法人)が再雇用し、院長(管理医師)に就任予定だったが、クロージング前に管理医師の役割について労使間で認識の違いがあった事が原因によりブレイク

≪医院譲渡の背景≫
売主は先代から続く老舗クリニックを親子間継承により継承開業したが、病気をされ年を追うごとに体調不良が悪化し自身単独で診療を継続することは困難になり、勤務医師を雇用し副院長に据えて診療を継続していた。売主の体調不良による引退意欲の高まりから副院長に継承を打診するも、継続勤務は可能だが継承するつもりはないと断られたため、第三者継承を選択。

≪案件化からクロージング≫
複数の分院展開中の医療法人が興味を示し、副院長の再雇用と管理医師に就任してもらうことを前提条件に交渉、継承に向け買主と売主および副院長が複数回にわたり譲渡条件・再雇用条件について協議を行なった結果、副院長の再雇用を前提に三者間で合意形成できたので事業譲渡契約を締結。

≪失敗原因≫
クロージング日(経営権移譲日)1週間前に再雇用予定の副院長から親族の反対もあり管理医師の重責を担うことは出来ないため管理医師就任辞退の申し出があり、双方(買主と副院長)の主張・意見が異なるため、買主と売主および副院長の三者間で協議を行なうも平行線のままの溝は埋まらず。

≪結論≫
買主としては、雇用予定医師の継続雇用が継承の前提条件であったためクロージング前に合意解約となった。このことがきっかけで売主と副院長の信頼関係も崩れ、副院長は退職することとなり、当該医院は廃業する結果となった。

ケース➂ 診療方針の大幅変更による患者数減少

種  別:医療法人から医療法人に事業譲渡
売  主:70代後半 男性医師
買  主:医療法人
開業形態:売主が不動産所有による開業
失敗原因:譲渡契約前に後任医師の人柄や診療方針が図り切れず、後任医師が患者トラブル・従業員の離職に繋がる

≪医院譲渡の背景≫
70才を過ぎたころから体力の衰えを感じ、病気をきっかけに既存患者の通院先の確保・従業員の雇用を守るため医院継承を意識し始め、専門ではない取引先銀行等に声掛けしたが、良い方が見つからずただ時間だけが過ぎる結果となり、知人の紹介で第三者継承専門業者に相談。

≪案件化からクロージング≫
分院展開を検討している医療法人が興味を示し、買主が人材紹介業を介して後任の管理医師を雇用するスキームで売主に打診、売主から後任管理医師に患者および従業員の引継ぎを確り行なうため、クロージング後に売主が非常勤で週1~2回程度の継続勤務を条件に、買主の条件を承諾して譲渡契約を締結。

≪失敗原因≫
後任管理医師の勤務開始後、売主の診療スタイルや検査のアプローチ方法は踏襲せず、継承直後から自身のスタイルで診療したことで患者は従前通りの診療が受けられず不満を募らせ、従業員からも反発が生じる。

≪結論≫
後任管理医師はクロージングから数カ月で退職、医院では患者が減少し、数名の従業員は退職、後任管理医師が決まるまで売主が勤務日数を増やして患者対応するなど大騒動であったが、買主が後任管理医師を採用できたことで無事に収まる。

ケース④ 新型コロナに起因したクリニックの廃院 

種  別:医療法人から医療法人に事業譲渡
売  主:医療法人(本部は西日本)
買  主:医療法人(本部は東日本)
開業形態:テナント賃貸借による開業
失敗原因:企業健診や訪日インバウンドの健診が見込める立地だったが、コロナ禍の影響により在宅勤務やインバウンド縮小、継承前の予想に反して大幅な減収

≪医院譲渡の背景≫
西日本に本部および本院を置く医療法人が東日本で分院を開設、遠方のため管理に手間は掛かっていたが安定した収益力があった。分院長から突然の退職願いをきっかけに管理の煩わしさから事業譲渡を決意。

≪案件化からクロージング≫
過去M&Aで事業を拡大してきた買主が当該案件の立地の良さから伸びしろがあると判断、売主の好意で譲渡価格も相場より低いこともあり継承を希望。双方合意のもと事業事業譲渡契約を締結する。

≪失敗原因≫
クロージング後は当初の予想通り企業健診や帰宅途中のサラリーマン、訪日インバウンド需要により賑わいを博していたが、コロナ禍の影響で各企業が在宅勤務へ移行、外国人旅行者の減少により外来患者が大幅に減少。

≪結論≫
コロナ禍の影響により患者数が大幅に減少、新たな経営戦略、コロナ補助金申請など出来る限りの対策をしたが、毎月経営不振が続き改善の見込みが立たないため、止む無く廃院。

 

本コラムでは実際にあった事例を一部抜粋して取り上げさせていただきました。各案件毎に背景が異なりますので、業界に精通しているアドバイザーに依頼して継承時に注意すべきポイントをしっかり押さえておくことが、クリニックM&Aの成功への近道と言えるでしょう。

 

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