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コロナ禍で加速する医療DXとオンライン診療の未来  ~厚労省の推進計画とその影響~

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医院継承(承継)、クリニック売買、医療法人M&Aのメディカルプラスです。医療業界は常に変化し続けています。特に近年では、テクノロジーの進化や社会のニーズの変化により、医療提供のあり方や医療ビジネスの在り方に大きな影響が及んでいるといえるでしょう。そんな中での新型コロナウイルスの感染拡大は、医療業界に大きな変革をもたらしました。特に医療DX(デジタルトランスフォーメーション)」「オンライン診療」の重要性が高まり、これらが医療の未来を拓くカギとなることが明らかになっています。今回の記事は、「オンライン診療の拡大と医療DX ~コロナ禍における変革と未来~」をテーマに展開いたします。本記事が、開業をお考えの先生や医療法人さまのご参考となりますと幸いです。

はじめに:医療DX時代の到来

「オンライン診療」という手法は、感染防止対策として適応範囲が広がるとともに、認知度も高まりました。昨今の報道では「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)と聞いて想像するものは何か?」という質問に対しての回答で、「オンライン診療」がトップだった事もあるそうです。また精神疾患などの対面がメインの診療についても、スマートフォンやパソコンを使ったオンライン診療で「対面診療に比べて治療効果に遜色はない」とする研究成果も報告されており、今後への期待が伺えます。

コロナ感染拡大防止を契機として診療は新たに変化を生みました。コロナによる発熱患者を診察する際の外来枠の不足から、厚生労働省は新型コロナ感染症が収束するまでの期間に限って、初診から電話やオンラインによる診療を時限的・特例的な要件として緩和し、初診のオンライン診療を容認しました。そして2022年度の診療報酬改定を経て恒久化に至ったと言われております。
さらに現在は医療政策の大きな柱として、オンライン診療を含む医療DXが国の政策として掲げられております。今後さらなるデジタル技術の活用によって医療の質の向上が求められていると考えられます。

それではその背景や現状、そして将来の展望について詳しく探っていきましょう。

*参考:総務省「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd122310.html

医療DXについて

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)は、医療分野において情報通信技術(ICT)やデジタル技術を活用し、医療サービスの品質向上や医療従事者の業務効率化、患者の利便性向上などを実現することを目指しています。特に近年、医療DXが注目されるようになった背景には、少子高齢化医療費の増大といった構造的な課題に対する解決策として、デジタル技術の活用が期待されています。

厚労省の医療DX推進計画とは?

医療DXとは、医療分野において情報通信技術(ICT)やデジタル技術を導入し、医療サービスの品質向上や医療従事者の業務効率化、患者の利便性向上などを実現することを目的としています。少子高齢化が進む日本では、2025年にはいわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となり、益々の効率的な医療提供体制が求められております。このようなことを背景として、2023年6月に、厚労省の医療DX推進本部が「医療DXの推進に関する工程表」を策定し、次の5項目の確実な実現を目指すことが掲げられました。


①. 国民のさらなる健康増進
②. 切れ目なく質の高い医療等の効率的な提供
③. 医療機関等の業務効率化
④. システム人材等の有効活用
⑤. 医療情報の二次利用の環境整備


上記課題を実現していくため、すでに医療機関と薬局に「オンライン資格確認等システムの導入」(患者の直近の資格情報等〈加入している医療保険や自己負担限度額等〉が 確認できるシステム)が原則義務化され、2024年秋には健康保険証が廃止されてマイナンバーカードと一体化されることが予定されております。そして2030年までには医療情報を全国で共有できるシステムの導入や電子カルテの標準化などが計画されており、これらを「医療DXの推進に関する工程表」に落とし込んでおります。

※参考:厚生労働省「医療DXの推進、マイナ保険証の利用及び電子処方箋の導入に関する状況について」https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001168765.pdf

「医療DXの推進に関する工程表」の具体的な実施事項とは?

それでは、医療DXの推進に関する工程表の、具体的な実施事項について詳しく見ていきましょう。


●マイナンバーカードと健康保険証の一体化(2024年秋、健康保険証の廃止)
医療DXの基盤を成すのは、マイナンバーカードと健康保険証の一体化です。「工程表」の中で最も早く完遂する項目であり、健康保険証の廃止は2024年秋に予定されています。今後、マイナンバーカードと保険証の一体化によって、データの閲覧や、個々に適した医療を受けることが可能になると言われております。また、オンライン資格確認の導入に伴い、受付での患者情報入力の業務を省くことができるなど、コストの削減や情報の取り違えによるヒューマンエラーを防ぐことにもつながるのも大きなメリットの一つと考えられております。

●全国医療情報プラットフォーム(2025年春の運用開始)
「全国医療情報プラットフォーム」とは、オンライン資格確認等のシステム導入を拡げていくことで、保険・医療・介護の情報を全国で共有できるサービスと言われております。全国の医療機関と薬局とつなげて電子カルテ情報などを共有できる仕組みが構築されれば、個々の患者さんに対し、より適した医療が可能となり、最終的には自治体や介護事業所とも連携を行うことで、介護、予防接種、母子保健、検診などの情報を共有できるシステムの構築を目標にすることができます。

●電子カルテの標準化(2025年初めの全国提供開始)
すでに「医療情報化支援基金」の活用による電子カルテ情報の標準化を促進する取り組みが進行しており、2025年初めには全国の標準型電子カルテの提供が開始されようとしています。
これらの取り組みは、まず初めに診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果などの文書と傷病名、アレルギー、感染症、薬剤禁忌情報、検査結果、処方内容などの情報の共有を進めながら情報の範囲を拡大していく予定となっております。また、これらと並行して標準型電子カルテの整備が行われ、現在電子カルテを導入していない医療機関にも支援を行いつつ、2030年にはおおむね全国の医療機関での導入が目標として示されております。

●診療報酬改定DX(2026年の全国提供開始)
診療報酬の改定は2年に一度の頻度で行われます。従来であれば診療報酬の改定が行われるとレセプトコンピューターのシステム改修やメンテナンスなどを短期間で行わなければならず、多くのコストがかかります。今回の方針では、限りある医療資源を有効活用するため、全国で統一した電子計算プログラムとなる共通算定モジュールの開発を行い、2026年に本格的な提供開始が目指されています。


以上のように、国の今後の方針をみると、医療分野において益々のデジタル技術の導入とその活用が期待されることがわかります。電子カルテから得られる情報の蓄積が進めば、医療機関の業務効率化や個々の患者へ適した医療の提供のみならず、感染症の危機対策時などに二次利用することも将来的に期待されることはとても重要な点と捉えることができます。

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オンライン診療について

医療DXの取り組みの中には「訪問診療等におけるオンライン資格確認の導入」もありますが、今後はこのオンライン資格確認の対象を訪問診療からオンライン診療等にも拡大することが盛り込まれております。オンライン診療とは、医師と患者の間において、情報通信機器を利用してリアルタイムで患者の診察・診断を行う行為を指し、それまで「遠隔診療」と定義していたものを、新たに「オンライン診療」と定義を変更しております。

オンライン診療のメリット

オンライン診療のメリットとしては以下の点が考えられております。

●アクセスの向上:
地理的な障壁がなくなるため、遠隔地に住む患者や移動が困難な患者も容易に医療サービスを受けられる。
●効率性の向上:
待ち時間の削減や診療時間の柔軟性が向上し、医師と患者双方の時間を効率的に利用できる。
●感染症リスクの軽減:
オンライン診療は感染症の拡散リスクを軽減させる。
●新たなコミュニケーション手段:
デジタルツール利用により医師と患者間のコミュニケーションが向上、フォローアップや健康管理が容易になる。
●医療データ管理の効率化:
電子カルテの利用が一般化し、患者情報の共有管理につながる。

オンライン診療のデメリット

一方でオンライン診療には、デメリットも存在します。

診察の限界:
物理的な検査や手技が必要な場合、オンライン診療では対応が難しくなる。通信速度や通信状況の影響を受ける。
デジタル機器の技術的障壁:
患者や医療提供者の中には、必要な技術的スキルや機器が不足している場合がある。
セキュリティとプライバシーの懸念
患者情報の取り扱いにおいて、セキュリティやプライバシー保護のための厳格な措置が必要となる。
規制と法律の課題:
オンライン診療に関連する法律や規制が未整備である場合、実施にあたっての法的な不確実性が生じることがある。

このように、オンライン診療と対面診療の適切なバランスを見つけることは医療の質を維持する上で重要な課題となります。一方で、これらのメリットとデメリットを使い分けて上手くオンライン診療を導入することが、将来的な医療サービスの質の向上に寄与することも期待できますし、患者のニーズを考慮した場合、オンラインの整備を進めることは今後求められていくのではないでしょうか。

●参考:厚労省「オンライン診療の適切な実施に関する指針の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/001123361.pdf

まとめ:コロナ禍以降の医療と継承開業

冒頭に触れた「精神疾患へのオンライン診療は、対面診療に比べて治療効果に遜色はないとする研究成果」が報告された、という最新のエビデンスは、今後の医療DXならびにオンランイン診療の活用を模索する意味で大変興味深いものです。もちろん、オンライン診療と診療科の親和性の有無も考慮する必要もあります。

医院継承は、地域に根ざしてきた診療の歴史を引き継ぐ部分と、新たな時代の変化に合わせた部分の融合がとても大切になるかと思います。別の観点で考えますと、継承開業した医療圏において人口動態の変化が生じれば、当然、クリニック、医療機関もその変化に適した医療の提供が求められることになります。常に環境への変化は求められるということになります。

では、コロナ禍以前の診療環境と比べて現時点で確実に異なってきている環境や社会の変化とは何でしょうか?それは間違いなく、ウェブでのコミュニケーションが以前より身近となったことであり、「Web」が社会生活の一部を構成し、web面会によるコミュニケーションに抵抗の少ない若者層が存在するということです。そして国が推し進めている医療DXの促進は大きな社会の変化を生むと考えられます(もちろん課題は多くありますが、本コラムでは割愛をさせていただきます)。

本記事では今後新たな社会・環境で継承開業を考える上で、押さえておかなければいけない国の政策に触れさせていただきまし身近になりつつあるマイナ保険証の普及や、国の推し進める電子カルテ整備といった大きな流れの中で、医療DXの一つでもあるオンライン診療の良さを活用することは、「地域」の患者さんへ良い影響を与えるのでないでしょうか。今回の内容が少しでもご参考になりましたら幸いです。

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