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医師の働き方改革 ~医師や医療現場はどう変わる?~

  • 医療継承コラム

こんにちは。メディカルプラスです。本日は1年半後となる2024年4月に控えた医師の働き方改革によって医師や医療現場は一体どのように変わるのか?というテーマについて、お伝えしていきたいと思います。

はじめに

元来より日本人は真面目で勤勉だと言われていますが、勤務医はその頂点と言っても過言ではないでしょう。そのため医師の働き方改革を端的に表現してみるとしたら「少し仕事から離れて過ごしましょう」、「知識と能力を存分に発揮するためにもゆっくり休みましょう」、「過剰に給与にこだわらないことも時には必要です」等があげられるでしょう。

適切なゆとりを確保し意欲・能力を存分に発揮できる環境を作る。「あれ。以前にもこんな政策なかったっけ?」と既視感を感じた方もいるのではと思いますが、その正体は教育指導要綱改訂で2002年から実施された「ゆとり教育」かもしれません。
医師の皆さまには「ゆとり教育」と言われてピンとこない方も少なくないと思います。しかしゆとり教育と同時期、医学科における教育現場では「チュートリアル型PBL(Problem Based Learning)※少人数の学生がチューター助言を得つつ個々の問題解決に取り組む手法」が流行し、多くの医学科で取り入れられました。ゆとり教育は、医学の道を目指す学生に対して直接的でなくとも、こういった手法に形を変えて教育現場へ影響したとも考えられます。
しかし現在チュートリアル型PBLに当時のような盛り上がりはなく、むしろその意義が見直され、チュートリアル型PBLを取り入れている医学科は大幅に減ってしまっているようです。やはり医師・医療の分野に「ゆとり」は馴染まないのでしょうか?

働き方改革関連法は2019年4月から開始され、医師には5年の猶予が与えられ、病院・各診療科・検査・手術室ごとの対応、準備が具体化してきました。2022年度の診療報酬改定でも同改革への支援が盛り込まれ、きたる2024年に向けて具体像が定まりつつあります。
それでは、2024年医師の働き方改革の概要についてみていきましょう。

医師働き方改革の概要

医師の働き方改革概要は以下のようになっており、その対象は労働基準法の適用となる勤務医で、事業主である開業医は対象外です。


■時間外労働上限規制

医師や医療機関の立場に応じ、水準ごと異なる時間外労働の上限設定がある。標準規定(A水準)として、年960時間以下且つ月100時間未満(休日労働含む)の時間外労働上限規制が設けられる。救急現場や初期研修医など別水準もある(年1,860時間以下且つ月100時間未満(休日労働含む))。


■連続勤務時間制限など追加的健康確保措置

他に、①連続勤務時間を28時間までとする(労働基準法上の宿日直許可除く)、②当直明(宿日直許可なし)は次勤務までの18時間の間隔を確保、当直明(宿日直許可あり)は9時間を確保、③代償休息(連続勤務時間制限および上記勤務間隔を取れなかった場合)、④面接指導・就業上の措置(管理者は、当月の時間外・休日労働が100時間に到達する前に医師に対し実施)を講じる。


■時間外割増賃金率

2023年4月から医療業界を含む中小企業にも適用され、月60時間を超える法定時間外労働に対して、50%以上の割増賃金率を算出する。医療法人や個人開業医の場合も常時雇用労働者の人数により法定割増賃金率が適用される。医療法人の中小の基準は出資金が5,000万円以下もしくは常時使用する労働者数が100人以下となる。

制度施行の歴史背景とは?

過労死等防止調査研究センターの調査によると、2010~2015年の該当医師の脳・心疾患は17件、精神障害では8件が報告されています。その原因である過重労働の内容をみると「人手不足による労働負荷」、「オンコール・休日診療」、「管理業務(教育・指導含む)」、「学会・論文作成」があげられています。また2019年に厚生労働省が公表した医師の勤務実態調査で医師の勤務時間をみると、外科・脳外科・救急領域では週60時間を超えています。一般的に過労死レベルは週80時間と言われていますので、医師の過酷な勤務状況が見て取れます。

この改革の原点はバブル期に遡ります。好景気で働けば働くほど増収した時代ですが、同時に過労という弊害も生じたと考えられます。1991年、大手企業での過労自殺事件に対し企業の安全配慮義務を命じる判決が出され、1992年には「時短促進法」の制定により労働時間短縮が明文化されました。2015年には同企業での過労自殺再発を受け、2017年政府は一億総活躍社会を提言、働き方改革が開始されました。従前の固定・長時間労働から、多様で柔軟な働き方でワーク・ライフ・バランスを実現し、労働者個々の事情に準じ働けるための改革とされましたが、医師については応召義務ゆえに、改革が最後となった経緯があります。

病院、各科での取り組み

本改革は病院経営にも大きな影響を与えうるもので、トップダウンのあるいは現場からのボトムアップの改革であれ、とどのつまり人員と予算の確保ということであり、具体的には、全く同じスキルの医師を2名以上ずつ確保し、一人の給与を一部二人目に分与し、休暇を確保、二人目の給与不足分を経営側が負担することに他なりません。勤務医の減給は不可避ですが、経営側の裁量、外勤など現行の収入がどの程度確保出来るかが重要になります。

代替の利かない医師の周囲では、改革に向け課題もあります。例えば脳外科チーム医療(腫瘍、血管)、産科婦人科医療(産科、腫瘍他)、小児科医療(採血・検査さえも技術と人員)、NICU(専門医養成に8年以上)、救命(ECMO、他科連携)、手術室麻酔科(準備だけで早朝出勤)、カテ・内視鏡室など、いずれも精緻な準備、熟練、時間と人員に加え超緊急(突発的事態)の対応部署で、タスクシェア(麻酔器の起動は看護師が行うなど)の難所となります。
診療科目を問わず、今後はICT技術(情報共有アプリ等)の活用、カンファ時間短縮、勤務時間内IC、書類タスククラーク、検査中のコール禁等出来うる限り無駄を省き、部署ごとに皆が協力し仕事の効率化と分散化を図ることが必須となるでしょう。

まとめ~2024年に向けて~

医師の働き方改革は子育て支援にも優しい政策ですが、他医師、他科医師やパラメディカルの協力が不可欠です。タスクシェアの難しい医師では、そういった「お願い」が実現するかなど課題も残り、病院の資金力、給与処遇など現実的な対応が求められます。
先の時間外労働の上限規制、追加的健康確保措置ともに、派遣アルバイト、複数医療機関での勤務を含め適用されるため、収入の確保は従前より厳しくなります。待遇の良い外勤先医院の争奪があり(外勤当直は当然減少)、医院側は質の高い非常勤を雇い得ることになるでしょう。勤務医の限界や将来の不遇を予感する医師、若手医師も少なくないように感じます。

1)高度なチーム医療の破綻、やりたい医療ができない
2)改革の中でブラック経営者・病院が浮かび上がる
3)承認欲求に不満な敏腕医師

改革を機に上記の増加が想定され、転職や開業意思へと繋がっていく流れが加速することも想定されます。開業医は自らの意志と自らの責任において業務のマネジメントが可能です。勤務医と異なり仕事と休暇のオン・オフが明確で、自身の裁量で自由に決めることができます。自身の目指す働き方改革を推進していかれるともいえます。

今後の新規開業は都市部では難しく経営的に楽ではありませんが「継承開業」は勤務医として限界を感じている医師として、現実的な選択肢となりえます。
継承開業では既に患者さんが通っているクリニックをそのまま引き継ぐことから、開業初月から収益がある程度確保され、医療スタッフもそのまま引き継ぐと採用費も抑えられるなど、リスクを低減した医院開業を実現することができます。

注意点は、勤務医・開業医とも向き不向きがあるということです。
病院の勤務医に限界を感じつつも、自分には開業医は向いていないとお考えの方は、クリニックの管理医師(雇われ院長)の検討をおすすめいたします。管理医師は、開業医のように全ての意思決定に権限を持つことはできませんが、分院の管理者として一定の裁量を持ちながら、病院勤務医のように当直や休日のオンコール対応などがないため、ライフワークバランスを取りやすい勤務形態です。相応の臨床経験をお持ちの方であれば、病院勤務医と比較し年収の増加も見込めます。

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