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クリニックM&A取引における消費税の課税資産と非課税資産について

  • 医療継承コラム

こんにちは。メディカルプラスです。
2019年10月1日に消費税率が10%に引き上げられてから3年以上が経ち、その間も税率についてはさまざまな角度と立場からの議論がなされています。消費税は生活に与える影響もさることながら、これからクリニックの開業をお考えの方、また今現在開業医としてご活躍の方、いずれも経営に携わる方にとって大きな関心ごとかと思います。本日はM&Aと消費税等(消費税+地方消費税)の関係について解説いたします。

M&A取引には消費税等が課税されるの?

「クリニックのM&Aで消費税の課税対象は?」「逆に非課税は何?」
「そもそもM&A取引に消費税等は課税されるのだろうか?」
このような疑問をお持ちの方も多いと思います。結論から申し上げると、M&A取引内容や譲渡スキームによって、消費税等が課税されるかが決まってきます。まず大前提として消費税等は、一定の条件をみたす「資産の譲渡等」に対して課税されます。ですから「M&Aが行われた=課税?非課税?」ではなく、「M&Aによりどのような『資産の譲渡等』が発生したのか?」という観点で読み進めていただければと思います。

消費税等が課税される代表的な資産

それでは、M&Aで取引がされやすい消費税等の課税資産についてご説明いたします。
ここでは課税される代表的な3つの資産、

1.「棚卸資産」
2.「有形固定資産」
3.「無形固定資産」

についてご確認いただきます。個別に見ていきましょう。

棚卸資産

「棚卸資産」とは、営業・販売活動を通じて短期的に費消され、直接的に販売収益獲得に貢献する資産をいいます。また、製造業における原材料や仕掛品も、棚卸資産に含まれます。クリニックM&Aにおいては、医薬品や診療材料等の消耗品が該当することになるでしょう。一般的な言葉で表すと「在庫」と表現されますが、こちらの方がイメージしやすいかもしれません。企業でも医療機関でも、帳簿上での在庫の数量と実際の在庫数量が一致するか確認するために、定期的に数える、つまり実地棚卸を行うことで適切に管理を行なっている資産です。

有形固定資産(土地以外)

「有形固定資産」とは、会社が長期にわたって使用する目的で所有する資産のことで、「1年以上の使用・利用を通じて間接的に収益獲得に貢献する資産」をいいます。一般的にはPCやデスク、椅子などの備品、あとは営業に使う車輌などを思い浮かべていただければと思います。またクリニックM&Aにおいては、建物・内装・医療機器などが該当することが多くなります。このうち、建物は取引金額が多額になるため、注意が必要でしょう。また、詳細は後述しますが、土地は非課税資産になります。

無形固定資産

「無形固定資産」とは、長期間にわたって所有・利用することで収益をもたらす「具体的な形がない財産的な価値を有するもの」です。具体的には、法律上の権利(商標権・特許権など)とそれ以外(のれん※営業権)をいいます。のれんは、M&Aを行うことにより生じる会計上の勘定科目になりますので、クリニックM&Aにおいては、事業を取得する側で理解しておくべき概念です。

クリニックM&Aでよく聞く「のれん代」とは?

消費税等が課税されない代表的な資産

続いて、M&A取引において消費税等が課税されない資産についてご説明いたします。何かを消費するからこその「消費税」です。したがって「消費」が予定されていないものに課すことできず、そういった税の性格と親和性のないものが非課税取引とおおまかにイメージしていただければと思います。
代表的なものは以下の3つです。

1.「債権」
2.「有価証券」
3.「土地」

こちらも個別に見ていきましょう。

債権

「債権」は、売掛金や未収入金といった販売債権をいいます。販売時において既に消費税等が課税されているため、債権の譲渡に対しては消費税等が課税されません。

有価証券

「有価証券」には株式・債券・手形・小切手などが該当します。これら有価証券は消費税等の前提である「消費」という概念にそぐわないため、消費税等は課税されません。サービス提供や物の売買などと異なり「消費」ではありませんので、消費税の対象外とされます。

土地

有形固定資産の中でも「土地」の取引に関しては消費税等が課税されません。なぜならば土地を「消費」することは不可能であるためです。注意点となりますが、不動産で課税されないのは、基本的に土地だけです。建物等や構築物には消費税等が課税されるため、あらかじめ視野に入れておきましょう。

M&Aにかかる消費税率は?

M&Aは軽減税率の対象とはなりません。したがって2022年11月現在のM&Aによって納付すべき消費税は、課税対象資産を把握し、それらに10%の消費税率を乗じて算出した金額となります。個人事業クリニックを事業譲渡する場合や、医療法人開設のクリニックを事業譲渡する場合は、のれんを含む譲渡資産(ただし土地は除く)に対して消費税等がかかります。一方で医療法人の出資持分譲渡によりM&Aを行う場合は、消費税等は非課税となります。なぜならば医療法人の出資持分は前述の株式同様に有価証券とみなされる為です。
クリニックM&Aにおいては、仮に土地を除く譲渡価格が1億円の案件だった場合、事業譲渡では譲渡価格1億円+消費税等1,000万円=計1億1,000万円に対し、出資持分譲渡では消費税等は非課税のため、1億円となります。特に買手側は、計画の時点から消費税等についても考慮しておくことで、思わぬ課税による買収予算の増額が生じることを避けられるはずです。特に消費税額が多額になりやすい建物については、十分に考慮しておいた方が良いでしょう。

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