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クリニックを譲渡・継承する際の買手候補者について

  • 医療継承コラム

先日、医院継承コラム「医院継承を考え始めたら最初に検討すべきこと」にて、院長が医院継承を考え始めたら、最初に検討すべき事項と、具体的にどのような選択肢があるのか?についてお伝えしました。
本日は、院長がクリニックの後継者を検討し、親族や知人に後継者が見つからず、第三者への医院継承を検討する場合、具体的にどのような方がクリニック後継者の具体的な候補者になりうるのか?というテーマについてお伝えいたします。
クリニックを第三者へ継承する際の後継者は大きく以下の3つに分かれます。

①.個人医師(勤務医)
②.医療法人
③.株式会社等の営利法人

それでは、それぞれ詳しく説明していきます。

クリニック後継者候補①「個人医師(勤務医)」

クリニックの後継者は大きく上記3つの譲り受け手が考えられます。
まず初めにクリニックの後継者候補に上がるのは、これから開業を考えている個人の勤務医です。最近では、クリニックの開業を考えるうえで、新規開業と継承開業それぞれを視野に入れて物件探しをされている方も増えており、なかには継承開業一択で開業物件を探している方もおられます。
継承開業を希望する医師が増えてきた背景には、開業医の高齢化により、継承案件が増えてきたということに加え、特に都市部ではクリニックの競争環境が厳しくなってきているということもあります。そうした背景のなかで、リスクを抑えた開業手法として継承開業を選択する方が増えているようです。

個人の勤務医がクリニックの後継者になる場合のメリットは、売手院長から後継者の顔や人柄が見えるため安心して継承できるという点と、その医師自身が院長として、そして開業医としてそのクリニックを継承するため継承後長年にわたり安定したクリニック運営が行われる可能性が高いという点があげられます。
一方デメリットとしてはマッチングが難しいという点があります。

クリニック後継者候補②「医療法人」

次にクリニックの後継者候補に上がるのは医療法人です。
医療法人の場合、病院を経営しているような大規模な医療法人がサテライトとしてクリニックを継承するというケースや、クリニックを運営している医療法人が、2件目の分院として継承するケースもあります。またクリニックを専門に数件~10件以上のクリニックを分院展開している医療法人が後継者になるというケースもあります。

運営が組織化されている医療法人は、医療と経営(マネジメント)が分けられており、人事や総務的なことは事務方が引継ぎます。こうした医療法人にとっても、新たに拠点を増やしていくうえで、既存患者を引き継ぐことのできる継承開業には多くのメリットがあります。医療法人がクリニックの後継者になる場合のメリットは資金力や運営ノウハウがあるという点です。
一方デメリットは、継承後に院長になる管理医師の顔が見えづらく、院長とはいえ医療法人に雇われているいわゆる雇われ院長ですので、継承後に院長が変わってしまう可能性が大いにありうるという点があります。院長の交代をデメリットと考えるかどうかは意見の分かれるところかと思いますが、患者さんにとってはいつも同じ先生に診てもらいたいという想いがあると思います。

クリニック後継者候補③「株式会社」

最後の後継者候補には株式会社等の営利法人があります。
営利法人がクリニックの後継者になるケースにおいて、最初に皆さんにご理解いただきたい点として、医療機関の経営には非営利性が求められており、営利目的でクリニック経営はできないという大前提があります。医療機関の非営利性については、こちらのコラムで詳しく触れておりますのでご覧ください。

株式会社による医療法人の買収は可能か?

医療法人は医療法において配当が禁止されており、またMS法人との取引についても、取引内容と取引金額について規制が設けられています。これは医療法人からMS法人を経由した利益の移転を規制するものであり、間接的な配当行為とみなされます。医療法人とMS法人の取引についてはこちらの医院継承コラムをご覧ください。

MS法人とは?医療法人との違いや役割・活用事例・取引注意点について解説

以上を踏まえたうえで、株式会社などの営利法人も医療法人に対する出資行為は認められておりますので、介護や調剤薬局などヘルスケア関連事業を行う事業会社が本業との相乗効果を見込んで医療法人へ出資することで経営権を取得するというケースも増えています。営利法人は医療法人の出資持分を保有することはできますが、医療法人の理事長は原則としてドクターでないと就任することが出来ませんので、営利法人が出資持分を保有した場合、理事長となるドクターを雇い間接的に医療法人を経営することとなります。
また、医療法人ではない個人クリニックの開設者はドクターである必要がありますので、株式会社がクリニックの経営を行うことはできません。

まとめ

ここまでクリニックの後継者となる候補者についてお伝えしてきました。医院承継を行っている多くの仲介会社では、個人勤務医とマッチングすることが難しいため、株式会社を譲り受け手として紹介されるケースが多いようですが、当社の成約事例における譲り受け手は、全体の約8割が個人医師、医療法人が約2割となっており、営利法人が譲り受け手となるケースは殆どありません。

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*本コラムは2022年7月5日に加筆修正いたしました


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