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クリニック譲渡・継承のための必要書類や資料とは?

  • 医療継承コラム

こんにちは。メディカルプラスです。今回は「クリニックを譲渡・継承するために必要な書類」についてお伝えいたします。譲渡をご希望される方は、譲渡価格査定時や募集開始時にどのような書類を用意しなければならないのか、継承をご希望される方はどのタイミングでどのような書類を用意しなければならないのか、それぞれの立場で気になっている方も多いのではないでしょうか。本記事では譲渡側・譲受側それぞれの立場で、必要な書類と必要となる場面についてご説明して参ります。ぜひ最後までお読みください。本コラムがクリニックM&Aを検討されている方にお役に立てましたら幸いです。

医院譲渡側で必要な書類

まず、譲渡側で必要な書類についてご説明して参ります。
書類準備が必要となる主な場面は、①事前相談時②募集開始時③商談進行時④最終契約締結時の4場面です。それぞれ場面ごとに必要な書類は以下の通りです。


①.事前相談時:譲渡価格査定:仲介業者への書類提供

クリニックを正確に評価し、譲渡価格の目安を算出するために必要な資料となります。

【個人クリニック譲渡の場合】

部類 書類名称
財務 直近1~3期分の確定申告時の提出書類一式 ※一式とは所得税青色申告決算書、決算報告書、勘定科目内訳書
当期の月次残高試算表
固定資産台帳または減価償却明細表
総勘定元帳
設備 (不動産所有の場合)不動産評価証明書または固定資産税・都市計画税納税通知書

【法人譲渡の場合】

部類 書類名称
財務 直近3期分の確定申告時の提出書類一式 ※一式とは法人税確定申告書、決算報告書、勘定科目内訳書、法人事業概要説明書
当期の月次残高試算表
固定資産台帳または減価償却明細表
総勘定元帳
設備 (不動産所有の場合)不動産評価証明書または固定資産税・都市計画税納税通知書

※医療法人からの事業譲渡の場合は、医療法人全体の資料のうち、譲渡対象事業単体の各資料が必要となります。

譲渡価格の算出についての詳細はこちらの記事もご参考いただけます。

クリニックの「事業譲渡」とは? ~その譲渡価格算出方法もご説明!~

「出資持分譲渡」ってなに?譲渡価格の計算はどうやるの?


②.募集開始時:案件概要書作成:仲介業者への書類提供

情報開示にご承諾いただいた買手候補者に対して開示する、案件概要書を作成するために必要となります。
案件概要書とは、譲渡する個人クリニック又は医療法人に関する詳細な情報を記載した資料です。一般的には、クリニックの所在地、理事長・院長名、開設年月日、診療科目や財務内容・事業収益などが記載されます。
案件概要書により、買手候補者はクリニックの実態を把握し、継承について具体的な検討することが出来ます。

【個人クリニック譲渡の場合】

部類 書類名称
設備・機材 (テナントの場合)テナントの賃貸借契約書
(駐車場を借りている場合)駐車場の賃貸借契約書
院内の平面図
リース契約書
メンテナンス(保守点検)の契約書
人事・労務 職員表 ※人数や職務など
雇用契約書
職員の給与台帳 ※直近期
営業 レセプト資料(日報や月報もしくは支払決定通知書)
※社保:当座口振込通知書、国保:診療報酬等決定通知書

【法人譲渡の場合】

部類 書類名称
設備・機材 (テナントの場合)テナントの賃貸借契約書
(駐車場を借りている場合)駐車場の賃貸借契約書
院内の平面図
リース契約書
メンテナンス(保守点検)の契約書
人事・労務 職員表
雇用契約書の写し
各種規定 ※就業規則・退職金規定・労務規定など
職員の給与台帳
(中退共などがある場合)退職金引当金の状況
営業 レセプト資料(日報や月報もしくは支払決定通知書)
※社保:当座口振込通知書、国保:診療報酬等決定通知書

※医療法人からの事業譲渡の場合は、医療法人全体の資料のうち、譲渡対象事業単体の各資料が必要となります。


③.商談進行時:買収監査:買手候補者への書類提供

買収監査とは、候補先が、譲渡価格が適正なのかどうか対象事業の業績・財務状況・法的リスクから継承の判断をするために、会計士や税理士、弁護士、社会保険労務士などの専門家を雇用して実施する検証のことです。買収監査は買手候補者によって内容や必要となる書類は異なるため、下記は一例となります。また、ケースによっては省略されることもありますので、ご不安な方は商談進行時に買手候補者に確認をしておくとよいでしょう。

【個人クリニック譲渡の場合】

部類 書類名称
クリニック クリニック開設届の副本
財務 確定申告書一式
残高試算表
総勘定元帳
診療材料の在庫一覧表
設備・機材 固定資産台帳
リース物件一覧表およびリース契約書
(不動産譲渡の場合)不動産評価証明書または固定資産税・都市計画税納税通知書
(テナントの場合)テナントの賃貸借契約書
院内の平面図
人事・労務 従業員名簿および直前期末時の従業員数
従業員履歴書
雇用契約書
就業規則
従業員退職金規定
給与台帳および源泉徴収簿 ※直近期
営業 レセプト明細表
支払決定通知書
※社保:当座口振込通知書、国保:診療報酬等決定通知書
返戻レセプト
厚生局個別指導資料
各取引契約の契約書、明細等
施設基準一覧

【医療法人の場合】

部類 書類名称
法人 医療法人の履歴事項全部証明書 ※3ヶ月以内のもの
医療法人設立認可申請時の提出書類一式の副本
社員・役員・出資者名簿
現行定款
事業報告書 ※直近期
社員総会議事録および理事会議事録 ※3期分
(過去訴訟があった場合)訴訟資料
財務 確定申告時の提出書類一式
残高試算表
総勘定元帳
診療材料の在庫一覧表
設備・機材 (不動産譲渡の場合)不動産評価証明書または固定資産税・都市計画税納税通知書
固定資産台帳
院内の平面図
人事・労務 従業員名簿および直前期末時の従業員数
従業員履歴書
雇用契約書
各種規定 ※就業規則・退職金規定・労務規定など
従業員退職金規定
給与台帳および源泉徴収簿 ※直近期
営業 レセプト明細表
支払決定通知書
※社保:当座口振込通知書、国保:診療報酬等決定通知書
返戻レセプト
(厚生局から個別指導を受けたことがある場合)指導資料
各取引契約の契約書、明細等
施設基準一覧

④.最終契約時:調印作業:買手候補者への書類提供

実印で押印される場合は印鑑証明の準備が必要になります。
ただし、必ずしも実印で調印しなくてはならないということではなく、対面調印の場合に売主買主双方が合意の上であれば、認印での契約締結が可能です。

【個人開業の場合】

院長個人の実印の印鑑証明書

【医療法人の場合】

出資持分もしくは基金の保有者個人の実印の印鑑証明書

【医療法人からの事業譲渡の場合】

医療法人の実印の印鑑証明書

医院譲受側で必要な書類

次に、譲受側で必要な書類についてご説明して参ります。
書類準備が必要となる主な場面は、①ネームクリア希望時、②商談進行時、③最終契約締結時の3場面です。それぞれ場面ごとに必要な書類は以下の通りです。


①.ネームクリア希望時:売主へのネームクリア依頼:売手への書類提供

ネームクリアとは、買手候補者に対して売手の詳細情報を開示するフェーズのことを指します。開示する詳細情報は売手の個人情報ですので、まずは売手に買手候補者の情報を伝え、売手が承諾した場合のみに情報開示することが可能です。売手に対して誠意をもって情報開示依頼をするために、下記書類が必要になります。

【個人医師の場合】

履歴書

【医療法人の場合】

理事長の履歴書もしくは経歴書
運営クリニックのHP

ネームクリアについての詳細はこちらをご参考いただけます。

M&Aでよく聞く「ネームクリア」とは? ~プロが重要性を分かりやすく解説!~


② .商談進行時:金融機関への融資相談:金融機関への書類提供

金融機関は提出された下記書類をもとに、融資希望者が返済能力があるかを適切に審査し、融資の判断をします。下記はあくまで一例となります。融資相談時の必要書類は相談先によって異なる場合がありますので、融資相談時には相談先に必要書類を確認しておくと良いでしょう。

【個人医師の場合】

場面 書類名称
事前相談時 履歴書 ※家族構成、経歴、専門医等が分かるもの
医師免許証の写し
確定申告書 ※直近3期分
本人確認書類 ※運転免許証もしくはマイナンバーカード
個人資産の確認書類(通帳の写し、不動産謄本、固定資産税証明書、生命保険残高証明書、有価証券残高証明書もしくは残高の分かるデータ)
ローン返済明細表の写し ※住宅及び車両
借入契約時 納税証明書 ※3か月以内のもの
印鑑証明書 ※3か月以内のもの
収入印紙  ※借入金額により印紙代は変動するため要確認

【医療法人の場合】

部類 書類名称
事前相談時 理事長の履歴書 ※家族構成、経歴、専門医等が分かるもの
理事長の医師免許証の写し
決算書 ※直近3期分
本人確認書類
理事長個人:運転免許証もしくはマイナンバーカード
医療法人:履歴事項全部証明書
法人資産の確認書類(通帳の写し、不動産謄本、固定資産税証明書、生命保険残高証明書、有価証券残高証明書もしくは残高の分かるデータ)
ローン返済明細表の写し ※住宅及び車両
借入契約時 納税証明書 ※3か月以内のもの
法人の印鑑証明書 ※3か月以内のもの
理事長個人の印鑑証明書 ※3か月以内のもの
履歴事項全部証明書 ※3か月以内のもの
現行定款の写し  ※原本証明が必須
借入に関する議事録  ※原本証明が必須
収入印紙(※借入金額により印紙代は変動するため要確認)

③. 最終契約時:調印作業:売手への書類提供

実印で押印される場合は印鑑証明の準備が必要になります。
ただし、必ずしも実印で調印しなくてはならないということではなく、対面調印の場合に売主買主双方が合意の上であれば、認印での契約締結が可能です。

【個人医師、医療法人、その他すべての場合において】

契約当事者自身の印鑑証明書

書類提出のタイミングは仲介業者や案件の進め方によって異なる場合も

ここまで譲渡側・譲受側それぞれの立場で、必要な書類と必要となる場面についてご説明して参りましたが、仲介業者や検討案件する相手方によって異なる場合も有り得ます。しかし、いざ準備するタイミングになってまとめて準備するのは非常に大変かと思いますので、譲渡を検討されている方は相談時に、継承を希望されている方は商談進行前に、少しずつご準備を開始されることをおすすめいたします。

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