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連載コラム第3弾《継承開業のすゝめ》

  • 医療継承コラム

本日は当社の仲介により埼玉県草加市になる「柳島クリニック」を継承開業された、吉川英志先生に寄稿いただきました連載コラム『クリニックを継承開業した経験から見えた医院継承とは?』より、《医院開業のすゝめ》をお届いたします。

実際に継承開業された吉川先生ご自身が感じられた重要なポイントを語っていただいておりますので、これから医院継承をご検討される先生にとってご参考になる内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

医院継承専門のメディカルプラスさんとのご縁から、実際に継承した医師として、医院継承に関わるコラムを執筆させて頂いておりますが、第1弾は医院継承で譲渡する側、第2弾は譲受側で開業する立場からの注意点を述べました。
今回第3弾はいよいよ開業をお考えの先生方の背中を押すべく、「医院開業のすゝめ」と題して、時事ネタや、自身の開業に至るまでの経験を織り交ぜながら筆を進めて参りますので、どうか最後までお付き合いください。

医師のキャリア ~自身の経験から~

昨今の新型コロナ感染爆発に伴い、医療崩壊という言葉がやたらと目に留まります。「搬送困難」や命の選択「トリアージ」といった言葉に置き換えられますが、私はこれまでに2回だけ救急搬送の受け入れを断ったことがあります。
最初は研修医1年目の一次救急当直、排気ガス自殺を図った心肺停止の若者でした。即座に対応困難と判断し、総合病院の二次救急へ回って頂きました。2回目は都内で勤務医をしていた時でした。外来へ搬送要請の電話があったのは心肺停止の100歳の老婦人でしたが、少し死後硬直があるとの救急隊からの情報で、まあ搬送するならということで受け入れました。その対応(主に警察)中、別の救急隊から、割腹自殺し2階から飛び降りた男性の搬送依頼がありましたが、さすがに一度に2名の対応は困難で、こちらは断らざるを得ませんでした。
心にわだかまりを残しつつ、後日同院の外科の先生方が受け入れた事を知り、救命できなかったようですが、少しの安堵感があったのを今でも覚えております。

別の病院では、救命救急に所属した時期があり、そこでの経験ですが、冬の深夜に野辺山で若者3人の乗った自動車事故があり、猛スピードで道路脇の電柱に激突した模様で、1台の救急車で3名が搬送されて来ました。対応する人手が足りない、1名は即死、1名は大腿骨骨折は間違いないが生存、1名が心肺停止、まさにトリアージでして、心肺停止の1名の救命です。口腔内は吸引しても血の海、喉頭軟骨を外部から手指の感触で確認しつつ挿管し、諸々の処置の末ICUへ、一命は取り留めました。
こういう映像は素人にも解り易く、医療逼迫などが伝わり易いですが、最近の新型コロナ感染の報道を見るに、救急外来や重症呼吸器病棟の映像が独り歩きしているように感じます。

私の呼吸器科時代の恩師であり、当直一晩で多い時は4名を看取るという別の意味で大変な科の病棟責任者であった南木佳士氏、ご存知の方も多いでしょうが、これはペンネーム、「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞を受賞された作家でもあります。一緒に仕事をさせて頂き、当時若かった私は、結核病棟の毎日の回診を任されておりました。現況は知りませんが、当時から既に感染症を受け入れられる病床が縮小されていた印象が強くあります。都内八王子勤務時代は、やはり結核患者さんを、中央高速を使い救急車で府中まで搬送したのを覚えております。現在の感染病床の逼迫は既に30年前に予見されていたことです。
ところで私はと申しますと、以降は病棟勤務医から一転して、基礎医学の教室での研究生活へと舵を切り、10数年間非常勤外来を兼務しつつ、やがて医院長職を経て、開業に至りました。

医師が医師たる所以

ここで根本的な問いですが、何故今開業医をやっているのだろう? そこら辺りを突き詰めていくと、開業(私は継承開業ですが)の意義が見えてくると信じ筆を進めて参ります。
では自分はなぜ医師をしているのだろう?

そこに医師免許があるからだ。

まるで登山家と同じですが、医師の皆さんは「医師免許の呪縛」を感じたことは無いでしょうか?
更に、医師という職業が、単なる社会資源と見なされる感覚はありませんか?

最近のヤフコメに素人らが書き込むような、「医師ならコロナを診ろ」や「コロナを診ない医師会の・・」など、まともに相手にしませんが、ただ、医学科の定員の1枠を使って医師として養成されたのだから、「医師として働け」のように社会的自由主義(マックス・シュティルナー)と見なされているような呪縛を感じます。
当然、職業選択の自由は保証され、医師としての専門科目や標榜も自身の意思で選択可能です。ただ何処かしらで、医師免許イコール医師でなければ、言い替えますと「医師をやらされている」感覚に囚われます。私には、医師をやる高尚な志や、時給への拘りが無いだけかも知れませんが。

医師としての多様性

一方、最近は幅広いジャンルで「二足のわらじ」「二刀流」などと、多面で活躍する方々がいます。古くは小椋佳からエンゼルス大谷翔平選手、桃月なしこ(看護師、コスプレーヤー、グラビア)などが有名でしょう。
医師免許をお持ちの方々も、先に紹介しました芥川賞作家南木佳士、文豪森鴎外、斎藤茂吉とそのご子息お二人、どくとるマンボウ北杜夫、斉藤茂太先生(当直室で良くお目にかかりました)、あるいは病室で念仏を唱える医師、某電カル企業社長、医師であり弁護士である方々と、活躍の範囲は広いようです。

これらは医師免許を越えた職業選択の多様性を意味しますが、一方で医師として第一線で活躍する場合、どうしても「二者択一的」にならざるを得ないようにも感じます。それだけ責任が大きくハードワーク故なのでしょうか。
言い替えますと、医師の世界では「二元論的」思考がまかり通っています。基礎医学と臨床医学、内科系と外科系、勤務医と開業医といった思考です。それぞれの立ち位置から相互に認め合うことが大切ですが、医師サイトなどの匿名の書き込みでは、いつの間にか勤務医と開業医との言い争いになり、相容れない対立構造になっているのをかなり頻繁に目にします。

医院開業という選択

今まで述べてきましたような、医師を続けるための大義名分を理解したことを前提(医師免許、社会的自由主義、こころざし、時給、職業選択の自由と多様性)に、何故に開業医なのかを5つのポイントから論じ、「医院開業のすゝめ」をさせて頂きます。

① 開業医の医療レベル

夢やビジョンをもって開業するからには、新規、同科継承を問わず開業志向があるはずで、科を越えて広い分野にアンテナを張って技術、知識や情報を取り入れておくなど最低限の準備は必要です。
何故なら開業医には幅広く、深く、数多く診られることが要求されます。皮膚科なら形成外科と美容皮膚科も研修しておく。風邪にPL処方は問題外、小児薬用量や併用禁忌など。症例は10万から100万に1もありまして(シャグリーパッチ、骨肉腫)、「大丈夫」は禁句です。診られない患者は遠慮すること、菩薩心は訴訟として返って来ます。最先端の治療をわきまえた上で治療の開始を、紹介状は診断をつけてから。例外はありますが、求められる医療レベルは決して低くなく、診療のスピードが要求され、カンファレンス無く自身の判断が命に直結します。その上で、院長としての人柄、見せかけの優しさでなく、真摯な態度と包容力、それにコミュニケーション能力は必須です。医療レベルと集患に必須な人柄は院長に求められる最低条件です。

② ポジションは安定?

薄給なのに大変だとか、楽で儲かるとか、勤務医と開業医をさらに二元論的に論じることは無駄です。
勤務医には大学、市中・民間病院、雇われ院長などそれぞれの場所でポジションがあります。一般には出世を目指すのでしょうが、ある所で必ず上がつかえます。教授選で敗れたら天下り、それも無理、他から教授が来たなら講師や医局長止まりかなとおよその先行きは分かります。ポジションの限界を意識した開業があります。
また、中堅となって、理想の環境で仕事ができない、研究や会議、雑務が多い、時間に拘束される、当直がきつい、人間関係・人間教育に疲れた、同じ疾患ばかりを診飽きた、もうお腹いっぱい、勤務医には不平不満は数限りなくおありでしょうが、精神的に無理、これはもう手遅れです。今すぐ若手にポジションを譲り、当直無し、救急なしでON-OFFの区別を実現させましょう。

症例も豊富でやりたい仕事が出来ている、今は他に求めるものがない、というのは一応了解ですが、オペや手技、診断は技術革新があり、診療報酬改定によるバブル崩壊があります。ダビンチ手術、Mitra Clip/TAVI、カテーテルアブレーション、多焦点眼内レンズ、施設在宅の在総管、今後の胃瘻など。病院の新たな方向性、設備投資、経営再編、近い将来訪れるコロナが後押しする倒産など、身の置き場の無くなる事も想定されます。自身の現ポジションの恒久性が危ぶまれるタイミングは必ず1度や2度はあります。転職という選択もありますが、後に概ね同じ問題に直面します。可及的早期に決断しましょう。逃げ恥どころか逃げるが勝ちという開業もあります。

③ コモディティ化か病気か

既に②で述べましたが、技術面でそのポジションや高給を維持している場合、必ず劣化が訪れます。
それはロボットやAI、CRISPR freeゲノム編集/iPS遺伝子治療など技術革新による旧技術自体の劣化もあれば、手指が動かない、感覚器系が限界といった身体的劣化もあります。技術に裏打ちされた勤務医は、後には技術だけに頼らない開業医として独立してください。技術を持ち込んでの開業もありますが、開業では幅広く、全体の患者数が要求されますので、症例の質・数的な不満と時間的制約には注意しましょう。劣化は②の逃げと同様に躊躇せず、より早い開業の決断が必要です。勤務医はコモディティ化による淘汰を恐れ、開業医はより遅れて訪れる自身の病気を恐れましょう。

④ 貯蓄から投資・キャッシュフローへ

「開業のすゝめ」の一つはお金が現物として手元に渡り、その一部が出ていく仕組みです。
金員はレセ審査、厚生局、税務署、労働基準局、年金事務所、自治体から監視され、思ったほど自由度は高くないですが、給与金額のみが通帳に印字される勤務医とは感覚が違います。通帳上の足し算である貯蓄とは異なり、開業ではお金の流れを全て掌握でき、同額の所得であっても、明らかに達成感の違いとして肌で感じられます。
開業資金は投資ですし、その後は大きなお金のフローとして捉えられ、支出も大きいですが、経費、節税について考える余地が残されます。その上で法人化、内部留保が積み重なれば分院開業へ、嬉しい限りです。

⑤ 自由と自己責任

開業すれば当然、人事、職場環境、椅子や机も自身の好みで選べますし、一定の決まりさえ守れば(コラム第2弾をご参照ください)すべてが自由ですし、新天地です。降って湧いたような問題は職員の人間関係など、勤務医の職場にもあった問題ですが、ただし院長自身の責任として問われます。本当の自由は責任の上に成り立ちます。自由と自己責任これが開業の本質です。

付言しますが、人道的自由主義(自己実現の極論)や、現代の社会学で言われる自己責任論がひいては自己の自由を縛るとか、2000年代初頭の自己責任論からの激変を踏まえた上で、古典的な自己責任のことですので誤解の無いようお願いします。

連載コラム第2弾 《医院運営の三本柱》#1

継承開業のすゝめ

以上「開業のすゝめ」が先生方に上手く伝われば良いのですが、第2弾でも書きましたように、医院開業の最重要課題は開業場所です。都内関東近県は科目によってはほぼ飽和状態と聞きます。
是非、継承開業という切札をお使いください。そして、親身になって相談頂けるパートナーをお選びください。私は躊躇なく医院継承専門のメディカルプラスさんを推薦します。
革命が、医療バブル崩壊と病院倒産が現実的です。
「いつやるか?今でしょ!」決断です。コロナ禍の今が決断の時です。

【関連コラム】

連載コラム第4弾《開業後の実務 ~継承開業のメリット・デメリット》

連載コラム第1弾 《医院譲渡のポイント》

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柳島クリニック 吉川英志先生 医院継承インタビュー

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